杉ちゃんにあたって

増田朋美

1、裏話徒然

杉ちゃんのモデル

杉三シリーズを書き始めて、約二年経ちました。はじめは、ちょっとした短編として書かせていただいたこのシリーズも次第に長編化し、気が付けば30作となってしまいました。もはや、こうなると、単なる気晴らしとは言い切れず、ライフワークに近いものになってしまったようです。はじめはシナリオ形式にしていましたが、通常の形式にトライしてみるなど、製作の変遷もあり、本当にここまで長く続いたシリーズは初めてです。はい、本当に、、、。

まあ、彼の活躍は、これからも続きますので、まだまだ読んでやってほしいのですが、30作まで行った事を記念して、様々な裏話をちょっくら披露してみたいと思います。


杉ちゃんのできるまで。

杉ちゃんこと、影山杉三の一番大きな特徴は、まず第一に文字の読み書きができないことだと思います。実は私自身、今でこそこうして文字をWordで打っていますが、少なくとも中学生くらいまでは、漢字の勉強などは大嫌いで、成績は最悪でした。さすがに、あきめくらとからかわれることはありませんでしたが。まあでも、漢字テストでいつも平均点も取れなかったので、文字に対してはコンプレックスは大きかったですね。それに、書道も苦手で、書初めの宿題なども全然だめでしたし。そんなわけで、家族にも教師にも叱られてばっかりでした。まあ、文書書くのが楽しくなったのは、こうしてWordが使えるようになったことかな。そうなれば、汚い字を見られなくて済むわけですから。でも、字は汚くても、昔ながらの古典文学はとても好きでしたので、結構江戸時代の文学は読んでいましたね。そこで思いついたわけです。もし、文字をかけないのに、古いものの知識は抜群にある人物がいたらどうだろうと。識字率100パーセントの日本では、そういう人物って絶対いないけれど、もしいたら、何か騒動巻き起こしてくれるんじゃないかなって。そこで杉三シリーズを描くことを思いつきました。

丁度そのころ、トムクルーズの、自身は読み書きができないという告白のもと、丁度海外の芸能人が読み書きができないと告白することが、爆発的に増えたという現象もありまして。

何か、テーマとして扱ってみたかったんですよね。

それに、インカみたいに、文字のない文明があったことも興味があったので、そういう人の生活はどうだったんだろう?なんて想像を巡らせた時期もありましたので。

そういう事から、杉三シリーズを執筆しようと思ったわけです。

まあ、それだけではキャラクター的に面白くありませんので、何か面白い要素を入れなければなりませんが、何も思いつかなかったので(というと、馬鹿ですが)とにかく、時代に合わないぶっ飛んだキャラクターとすることにしました。例えば、着るもの、好きな音楽、そういう物をとにかく今の人が好まない物とすること。だから、杉ちゃんの着るものは黒大島で、好きな音楽はクラシック音楽です。しかし、食べるものは現代の子供が非常に好きなカレーを食べる。こういう矛盾をわざと取り入れ、キャラクターとしました。さらに、自分では歩けないのに、知識だけはやたらあり、という矛盾も取り入れました。まあ、こうすればさらに面白い騒動をやらかしてくれますので。

影山杉三という名前は、適当です。ていうか、ほとんどのキャラクターで、名前は漢和辞典を開いて無理やり付けただけで、全く意味はありません。愛称も同じです。よく、杉三がロックミュージシャンと似ていると言われましたが、偶然にそうなっただけの事で、何も関連はないですよ。

よく言われるのが、杉ちゃんの容姿についてほとんど言及されないことだと言われますが、指摘されてやっと気が付きました。また、杉ちゃんは誰に似てます?なんて聞かれても思いつきません。とにかく、杉ちゃんは、麻の葉の黒大島の着物を着た不思議な男。これだけのイメージが定着してくれればいいかな、というだけの事でした。

彼の発言については、問題になるものも、もしかしたらあるのかもしれませんが、大体のものは政治家などが言っているものを彼なりにかみ砕いて、発言しているだけのことです。出典を申しますと、偉い方々の論文というか著書を読んでいた時期がありましたが、それをかみ砕いて発言させただけの事なのでした。時折、マニアックな方は、この人の発言に近い!とわかるものがあるのかもしれませんね。

まあ、そういう事なのです。

それにしても、こんなぶっ飛んだキャラクターを、ずっと書いてきたなんて、今になってよく続いてきたなと思います。

いつの間にか、私のほうが慰めてもらっていたのかも。

相方の蘭だけでなくね。

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