属性は何を選択すればお嫁さんにしてくれますか?

愛妹魅唯

第1話 告白はYESとNOどちらを選択すれば帰ってくれますか?

 「突然呼び出してごめんね…伝えたいことがあって……」

「う、うん……」


それは突然なことだった、下駄箱の靴の上にそれはもう、恋愛漫画で見るようなベタベタのラブレターが置いてあったのだ。


「えっとね……もう言いたいことは分かってると思うんだけど……」

「そ、そりゃあ……あれを見ちゃったからね?」


見てしまった…なんてのは失礼な言い方だということは分かっている……いや、ほんと分かってるんだけどさ………。


「えっとね……私…あなたと……」

「ごめん……無理だ…」

「え……どう、して……?」

「それは……」


俺の頭には三つの理由があった。

一つ、この告白してくれた女の子は、学園で一番可愛いと言われている月島蓮華さんだということ。

もし付き合って学園を仲睦まじく歩いたりでもしたら……わかるだろ?


そして二つ、彼女はこの学園の理事長の一人娘であり、この学園の生徒会長であるからだ…言い方が悪いのだが、身分の違いが激しすぎるのだ。


そして三つ…これが一番問題なのだ……。

「なんで……ラブレターの中身が婚姻届なの?」

「……それは」

「それは?」

「私!結婚願望がありまして!」

「ほう…?」


期待していた答えとは違ったのだが、何かわけがありそうなので、最後まで言い分を聞いてみることにした。


「私…幼い頃から妻というものに興味がありまして、ずっとお母さんとお父さんを見て育ったんですが」

「お、おう」

「……友達の言う理想の家庭……というのも調べていたのですが、私の家庭はどの家庭とも違うんです……」

「え……」


もしかすると、彼女の家庭は何かしらの問題があるのかもしれない。

そして、彼女は自分の理想の夫婦像を両親ではなく、自身の人生設計に………


「私の両親いちゃつき過ぎて、生活費もないくらい財政難になっちゃってるのです」

「理想の上を行ってるじゃねえかよ!!」


普通に幸せそうじゃねえかよ!

いちゃつきのレベルはんぱないけど!

すると彼女は、俺が握りしめていた婚姻届を取り、ぐいっと俺に押し付けた。


「私も、幸せな家庭を築きたいんです!……ですから」

彼女はこう口にする。

「私と結婚してください!」

「なんでだよ!!」

「なんでって……幸せになりたいからですが?」

「財政難っていう最悪な家庭になる未来が待ってることしかきいてないんですけどっ!?」


これで結婚したいって考える奴いるか?

まぁ…愛さえあれば金なんて要らないなんていう人もいるかもしれないが、俺はそんな無責任なことは言えない、金がなくちゃ養っていくことだって……。


「ごめん、俺は君と結婚することはできない…」

「そ、そうなんだ…ごめん…ね………」


彼女は涙を流しながら俺の前を去って行った。


「これでよかったんだ、俺は……なにも間違ってな……」

「おっまたせー!お兄ちゃん!実はね!今日お兄ちゃんに伝えたいことがあって!」

「・・・・・」

「どうしたの?お兄ちゃん」

「お前…さっき走ってどっか行ったところじゃ……」


すると彼女は先ほどとは違い、どこかのアニメの妹キャラのような悪戯気のある笑顔でこういった。


「さっきのキャラじゃないんでしょ?好きなのは」

「は?」


キャラ?どういうことだ?何を言っているのだろうかこの人は。


「な、なぁ?どういう意味で……」

「あれ?もしかして……妹じゃないのかなぁ?でもでも、魅力的な同級生が好きってわけでもないし……あれれ?」

「な、なんだよ……」

「あなたはぁ……」

彼女、月島蓮華は、上目遣いで俺に問うのだった。


「属性は何を選択したらお嫁さんにしてくれますか?」

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