孤独からの離別
勝利だギューちゃん
第1話
ぼっちだ・・・
友達はいない・・・家族はいるが絶縁状態・・・
アパートで、1人暮らしをしているが、隣人の顔は知らない・・・
家賃は振り込みなので、大家さんの顔も知らない・・・
ここには住んでいないだろう・・・
昔のクラスメイトが、結婚したとか、離婚したとか聞くが、
俺には、どうでもいい・・・
運が悪い・・・
何でも、俺の都合の悪いように働く・・・
周りの人間は敵だらけ・・・
そこへ追い打ちをかけてくる・・・
傷口に塩を塗るにくるのだ・・・
俺は、完全に最下層の住人だ・・・
「神よ!何が望みだ?」
(決めた・・・この世と別れよう・・・)
そう思い山の上に登った・・・
そして、洞窟の中に入る・・・
少しだけ飲食物を持ってきた・・・
これが無くなるまでは生きて、後は飢えよう・・・
そう思い洞窟に入る・・・
俺はぼっちだ・・・
生きる事を許されない・・・
ならば、望み通りに、死んでやろう・・・
アディオス!世界
洞窟に入り、奥まで進む。
そんなに高くない山だが、洞窟はかなり続いている。
奥まで進むと、先客がいた・・・
若い女の子だった・・・
どうみても、俺よりも年下・・・
高校生くらいか・・・
「あっ、どうも」
「どうも」
ぎこちない会話をかわす・・・
まっ、こんなもんだろう・・・
女の子と距離を離れて座る・・・
だが少しして気が付いた・・・
(やばい、このままでは心中になりかねない。
この子を帰さなければ・・・)
無い知恵を絞って考えた・・・
自殺しにきた俺が、自殺を止めても、説得力がない・・・
かといって、「一緒に死のう」なんて言えない・・・
願わくば、この女の子が俺を笑うために待機していた・・・
そう願いたいが・・・
(神よ!そうまでしてまで、意地悪したいか?)
とにかく俺からは、声はかけないでいよう・・・
そうだ、もっと奥までいけば・・・
「その先は、蝙蝠の大群がいます」
女の子が、声をかけてきた・・・
「みてきた・・・の?・・・」
「・・・はい・・・」
さすがに蝙蝠は、まずい・・・
そう思い引き返した・・・
「あの・・・」
「何?」
「どうして、お兄さんは自殺しようと思ったのですか?」
「なんで自殺とわかる?」
「ここへは、自殺目的の人しか来ません」
「そうだったな・・・」
そう、ここは地元で有名な自殺の名所だった・・・
「よろしければ・・・聞かせていただけませんか?」
本来なら話すべきではないのだが・・・
もうやけくそになっていた・・・
俺はいきさつを話す・・・
「同じですね・・・私と・・・」
「そうは見えないけど・・・」
「人は見かけによらないんですよ・・・」
ふと見ると、女の子は、もう殆ど食料がないようだった・・・
「あの・・・申し遅れました・・・私は・・・」
「名前はいいよ」
「どうしてですか?」
「もう・・・意味ない・・・」
「そうですね・・・」
俺は無言で、手持ちの食糧を全て渡した・・・
「これ・・・」
「一週間分はある・・・お嬢ちゃんはまだ若い・・・
捜索届けが出てるだろ・・・助けは来るよ・・・」
「でもそれじゃあ、お兄さんが・・・」
「俺はもういい・・・」
そういって、蝙蝠のいる奥へと入って行った・・・
おそらく女の子は、俺から食料をせしめるのが目的だったと思う・・・
でも、それでもいい・・・
奥へ進むと、蝙蝠がいた・・・
でも、気にならなかった・・・
「お前たちと心中か・・・悪くないな・・・」
そう思い、目を閉じた・・・
気が付くと、蝙蝠たちが取り囲んでいた・・・
恐怖はなかった・・・
「兄さん」
蝙蝠がしゃべった・・・
幻覚を見ているようだ・・・
まあ、いいか・・・あの世への手土産に持っていこう。
「兄さんは、何で死のうと思った」
他の蝙蝠が声を掛けてきた・・・
「お前も訊くか?」
「いいじゃねえか・・・聞かせてくれよ・・・」
「つまんねえぞ」
「いいよ・・」
俺はいきさつを話す・・・
「そっか・・・人間社会も大変なんだな・・・」
「まあな」
「そうだ、何ならいい場所紹介しようか?」
「いい場所?」
「ああ、どうせ死ぬのなら、奇麗な場所がいいだろ?」
それもそうだ・・・俺は提案にのることにした・・・
「わかった、ついてきな・・・」
そういって蝙蝠たちに誘導されるようについっていった・・・
「しかし、蝙蝠さんよ」
「なんでえ」
「何でお前らの言葉がわかる?」
「テレパシーだよ」
「・・・。そっか・・・」
そういや、蝙蝠はテレパシーで会話するんだったな・・・
着いていくと、そこは一目年のお花畑だった・・・
「どうでい、死ぬにはいい場所だろ?」
「ああ、文句ない。ありがとよ」
「いいって」
そういい、蝙蝠たちは去って行った・・・
どうして繋がっているのかわからんが、もうどうでもいい・・・
「ここが俺の死に場所だ・・・」
俺は目を閉じた・・・
目を開けた・・・
白い天井が、目に入ってくる・・・
「あれ・・・ここは・・・」
「気がつかれました?」
ナースさんらしき人が声を掛けてきた・・・
「一週間も寝ていたんですよ・・・・」
「あの・・・俺はどうして・・・」
「海岸沿いに倒れているのを、発見されたんです」
「でも、俺は・・・洞窟に・・・」
ナースさんは不思議そうな顔をする・・・
「洞窟って、あの山の洞窟ですか?」
「そうです」
「あの洞窟は、海につながっているんです。
あまり知られていませんけどね・・・」
その時、俺は思い出した・・・
「そうだ・・・女の子、女の子がいるはずですが・・」
「女の子・・・ですか・・・」
「はい」
「そんな人いませんでしたよ」
「でも・・・」
俺は不思議だった・・・
「そうそう、あなたのそばにこれが落ちていました」
「・・・リュック?」
俺があの時、女の子にあげた食料が、まるまる残っていた・・・
そこへ一枚の、メモ書きがあった・・・
「お兄さん、もうひとりじゃありません」
女の子の字と思われる・・・
「そっか、そういうことか・・・」
俺は、ようやくわかった・・・
「ナースさん」
「何ですか?」
「ありがとう・・・」
ナースさんは、微笑んで答えた
「こちらこそ」
孤独からの離別 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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