第33話 カーネと太陽
「仮面の王子様。早く来ないかなぁ」
もう何度目になるか…。
私の
今日は収穫祭だと言うのに心ここにあらずと言った具合だ。
まぁ今回の収穫祭に呼ばれている彼が、最大の目玉と言っても差し支えない存在感を放っているので無理もない事なのかもしれないが…。
「ほら、危ない」
道に並べられている荷物に突っ込みそうになったコランの腕を
収穫祭で
今の彼女は放っておくと、すぐに見えなくなってしまう。
私は仕方なくその手を取って誘導しているわけなのだが、荷物や人、壁など障害物があっても避けようともしない。
なので、こうやって引いてやらなければならないのだ。
腕を引かれたコランは正気に戻り「えへへぇ、ごめんねぇ」と言うが、しばらくするとまた夢の世界に逆戻り。
とはいえ、私も黒髪の彼には興味があった。
黒髪である事。孤児である事。同じような年齢である事。彼と私には深く共感してもらえるような共通点がある。
そこをつけば彼に付け入れるのではないか、私と妹を仲間と見なしてもらえるのではないかと言う期待があった。
彼が村に来る前。
事前にミランさんから提供された情報の中には『森の主を
彼は村に来る時にはその
彼には知識がある。力がある。そして皆と話し合えるような知性がある。
彼の下に付けば怖い物は無いだろう。
そしてあわよくば私もその力を従えて…安心して暮らしたい。
前回は彼が大人たちに囲まれていてさほど会話もできなかった。
が、今回は違う。
大人は皆出し物の準備と運営がある。
上手く回すために数人ごとに別れて祭りを回るのだ。
そうなれば当然、私たちが彼に
次にいつ彼がこの村を
「あ!いた!」
コランは急に大声を上げると「あっち!あっち!」と言って私の腕を引っ張った。
何故だかコランは夜の森から帰ってきたあの日以来、遠くにいる人や壁の向こうにいる生き物を言い当てられるようになっていた。
私が、風景の色とごちゃごちゃにはならないのか。色だけで見分けが付くのか。と言う質問もしても、首を
しかし、彼女の能力があれば黒髪の彼を簡単に見つけられ、皆に
今回はお
妹の為なんだ…許してくれ。
私が心の中でコランに謝っていると、一向に動かない私を気にしてかコランが振り返る。
彼女は一瞬、顔を
私は彼女に引かれるまま足を進める。その光は私が直視するには少し
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