第3話 マロウと少年の正直な気持ち
めぐると名乗った少年は
しかし、その
そうなれば、やせ
その
「先ほどは取り乱して申し訳ありません。改めまして私の名前はメグル ヒビヤと申します。以後お見知りおきを」
少年が意を決したように発したその言葉は
その必死に取り
私がついにクスリと笑いを
私はやってしまったと
その対応に
「私は山越えをしていた所、森の牙獣に
「…」
下から
違う、そうではない。まずは落ち着いて…。
「いぇ、すみません。正確に言えば
私は思い切ってその名前を出した。森に面する人里でなら少なからず
しかし、少年は一瞬驚いたような顔をしただけで、どこか納得したように「成程…」と小さく呟いただけであった。その反応に覚悟していた私の方が驚いてしまう。
「ご家族の方々はお出かけ中なのですか?」
自身で言うのもおかしな事なのだろうが、あの子たちをこうも簡単に受け入れてくれる人物がいるとは思わなかった。
それにわざわざこちらに合わせて「牙獣」を「家族」と言い
それが全て先ほどまで同じ存在に襲われていた
「えぇ、日が昇り始めたので、そろそろ戻ってくると思いますよ」
そう答えつつ、少年について考えをめぐらす。
そもそも普通の子どもが山越えなどするだろうか。
答えは否だ。
通常森には浅い場所であっても大人の狩人ですら最低二人一組で向かう。
子どもなどはもっての外で森に近づけさせてもらう事すらできないだろう。
それだけ森と言う場所は
それを深部どころか越えるなどとは並みの冒険者集団でも考えないだろう。
それに加えてこれだけしっかりしているにもかかわらず、名前を聞いたときのあの取り乱し様。ただ事ではない。
その部分は、この少年が子どもどころか並みの大人と比べるのもおこがましい態度を取っている事の要因ともなっているのだろう。
「そうですか…。家族の方が戻ってくるまでここでお待ちしていてもよろしいでしょうか?」
少年が窺う様な目線で再び聞いてくる。
勿論それは良いのだが、少年は暗闇の中、帰る術があるのだろうか。
と言うよりも帰る場所があるのかどうかさえ怪しい。
そう、少年は幼少期の私に似ていたのだ。
「はい。帰ってくるまでと言わず、好きなだけ此処にいて良いですよ」
私は当時自身が一番掛けてほしかった言葉を少年に
それでも
しかし、ちらちらとこちらを見つめる
もう
「私もね。ほら、こんな見た目だから話し相手が欲しかったの。だから、ね?」
私は
それは
それを聞いた少年は言葉を詰まらせた後、「そのような事でよろしければ」と今にも泣きだしそうな笑みを浮かべ、答えた。
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