僕です!カルガモ先生!



カルガモ先生


それは僕の通う学習塾にいる、とっても良い先生である。


美人で優しく、丁寧でなおかつわかりやすい

人気者で、授業の間の休み時間はみんな先生の元へ子ガモのように集う。

幼稚園の先生もしているそうだ。


「はいっ!今日はここまで!お疲れさま!」



先生は国語を教えてくれる。

僕は国語が滅法ダメなんだけど…

先生のお陰で、

イイ点数が取れるようになった。




僕は先生のお陰で自分自身、親や友達、教師の求む志望校へ行けるようになったと言っても大丈夫だろう。



合格の発表の時、僕は心臓が裂けそうだった


でも、先生のくれた羽のお守りが僕を救った




神だと拝み崇め奉るつもりも無いし、仏様だと土下座してすがる訳でもないけれど、先生にはほんとに感謝してる。



今日は僕の決心の日だ。

お世話になった先生に感謝を伝えるんだ。



先生の持っているコマが終わるまで、自習スペースで自習をした…集中は、出来ない。


出来る訳無いだろう。



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「カルガモ先生!」


「あら?どうしたんですか?」


春の夜の風が僕の髪を弱くなびかせる。


「僕、今日でこの塾辞めるんです」


先生の顔が少し曇る。眉が下がり、ご自慢の前髪と羽が下がる。


「そう…だったんだ。ありがとね、教えてくれて…お疲れさま、です!」


「先生…僕、言いたいことがあるんです」


「奇遇ですね、私も」



「じゃあ、先生から」




先生は、僕に小さな封筒をくれた。


「いいですか?体を気をつけて…それから」



先生、ごめん。

でも、

こんなのズルいよ。



僕との思い出。

楽しんで授業したこと

ちょっと体調崩した時の事

僕がサボったときのコト


先生が僕をこんなに見ててくれたなんて。



「先生…ッ!」


僕は混乱した。

だから。


感謝じゃ無くて、本音が漏れた。

ずっとずっと抑えてたキモチ。


「僕ッ!先生が好きですッ!大好きですッ!!ずっとずっとずっとずっとずっと前から好きです!」


夜の街の橋の上で、

人の目の無い暗闇で僕は荒げた。


先生は最初、ぼんやりとした顔をしていた。

恥じらいも感じたのだろう。

けれど、僕の顔が真っ赤で、涙が溜まっているのを見かねたのか









抱きしめてくれた。





「ありがとう…ありがとう…」


気付けば先生も泣いてるみたいだった。


「先生…?」




「ぐぅぅわぁぁん!感動でずぅぅ”!!!

大事な大事な、大好きな教え子からの勇気ある愛の告白!ごんな”の泣くなって言う方が無理ですぅ”ぅ”ぅ”ぅ”!!!!!!!!」



「せ…先生?」



「あえなく…なるんですね。」




僕は頷く。





先生の桜色の唇







僕は今日だけ、今日この日だけ、


それを堪能した。



また会えますよね?






僕です、カルガモ先生。

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