押し入れは僕の絶対領域

福島いるか

第1話 終わる平凡

僕の人生は平凡だ。

だが、平凡ほど幸せなことはないだろう。

それにしても、何も起こらない人生もやはりつまらない。

10円ガムが当たるくらいの小さい幸せも見当たらない。


そんな平凡の僕、高垣大地(たかがきたいち)の人生を変える出来事が起きた。



それは、3月29日のこと…。

4月から新学期の僕は何もすることなく、いつもと同じ様にゲームをしていた。


「はぁ…つまんないな」


呟きながら、ジュースを取りにリビングへ降りていき、冷蔵庫を開けるとジュースは無かった。

「最悪…」

大地はコンビニにジュースを買いに行った。

ジュースを買い終わり自分の部屋に戻った大地はしたいゲームがあったのを思い出し押し入れを開けた。


最初は下の段を探していたがなかったので上の段を探そうとした瞬間大地は驚いた。

押し入れの上段を見ると、大地は目があった。

押し入れの中にいる女の子と目があってしまった。

女の子はおにぎりを食べながら言った。

「初めまして…」

動揺した大地は押し入れの扉を勢いよく閉めた。

大地は見間違いだと思い閉めた押し入れの扉を開けるとそこには女の子がいた。

見間違いなんかじゃなかった。

「あの…何してるんですか?」

女の子は大地を見ながら答えた。

「食事だけど?」

大地はあっけらかんとした女の子の態度に腹が立ち聞いた。

「僕の部屋になんで知らない女の子がいるんですか!」

すると、女の子は答えた。

「それは……君が私の夫だからだ!」


その言葉に大地は声を失った。


「はぁ?」

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