第169話 新しいセシリアショップ

 カーラ先生から土地を借りる契約を済ませたあと、マギリさんに欲しい建材を頼んでおいた。


 なぜ、初めて見た土地なのに建材を頼めるかというと、【チェスガン】のセシリアショップを建てた時、雑貨屋や住居、飲食店などいろいろなパターンの図面を書いたり積算をしてあったのだ。


 だから、敷地の広さを見てからパーツを組み立てるみたいに完成図を想像して必要な建材より多めに頼んだ。


 建材は2日以内には納品してくれるらしい。


 いきなり申請しても2日以内に揃えてくれるって凄いなと思ったが、それだけ王族が本気なんだろう……。




 ☆




 学生寮に戻ってから、自分は【魔導工房】内にいた。


【チェスガン】の時に建てたセシリアショップは再利用出来る様に解体してあるので、多少の修正をして利用する様に図面を書き直していた。


「マスター、こちらの修正は終わりました。」


「ありがとう。 これでセシリアショップと居住スペースの修正は終わったね。 あとは、レストラン部分か。」


「今回はセシリアショップに雑貨屋を付けないのですか?」


「うん。 レストラン部分に食料品の販売スペースを作りはするけど、まだ大量生産の目処がたつまでは何もしない予定だよ。」


 販売する人は雇えば良いけど、【素材の極み】を反映した料理を作れるのは、自分とセシリアだけだからな……。


「セシリアショップの目処も立ったし、例の人形を本格的に考えようか。」


「そうですね。 この店舗内容ならかなりの資材が余りますから、人形作成にまわせそうですね。」


「そうだよね。 例の人形名は【魔導人形】ってするけど、全部で12体作成して内部には【魔導スライム】を搭載するので良いんだよね。」


「はい。 それでしたら【魔導スライム】をブースター兼中継器にして使えば【魔素】がある距離なら理論上は遠隔操作出来る人形が完成します。 能力面に関しては実際に動かしてみないと分からないので、希望した様にならないかもしれません。」


「重要な局面以外で失敗するのは構わないよ。 成功すれば多方面で使えるしね。」


「マスターの【神木】を使った鎧はどうですか?」


「【魔導操術】のスキルを使えば操れるかもしれないけど、これも資金が無いと実験も出来ないから、計画段階だね。」


 セシリアが【魔導人形】による物理的な手数を増やす強化に対して、自分は木材の加工時に【素材の極み】により偶然【神木】へ変化する木材と【虹結晶】を埋め込んだ鎧を【魔導操術】で操る予定だった。




 ☆




 マギリさんに頼んでいた建材は次の日には届いていた。


 流通の発達していない、この世界ではかなり早いと思う。


 それだけ王族は本気なのだろう。 これは自分も期待に応えて建てないとな……。


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