第20話 木刀?

 

 4歳になってから料理の手伝いの他に、幼なじみ達と共に戦いの基礎訓練をさせられている。


 ステータスの成長スピードを見て、うすうす気付いていたけど自分には戦闘の才能と言うか器用さはあるけど力と速さがない。


 現在、自分は木剣を素振りしている。


 幼なじみ2人の才能についていけない。


 ブラットは剣、エレナは短剣の二刀流で打ち合っている。もちろん木で本物の金属より軽いだろうが4歳のスピードではない速さで打ち合っている。


 この世界の4歳児は怖いくらい強いのかもしれない。


 まぁ自分は魔法使いの後衛側だと思われるから仕方ない話かもしれない。


 ブラットは【魔力操作】が苦手らしく1年前、同じ時期から魔法の練習を始めているけど全然魔力を形成出来ていない。

 対してエレナはスキル取得まではいってないがもう少しでボールを取得しそう。

 こういう時、魔眼があると相手の魔力がわかるから便利だな。


 自分は木剣すら重くて、まともに振れない。

 でもお父さんからは基礎は知っておいた方が良いと言っていた。


 武術的な経験が無いから素振りの必要性がまったくわからないが、ゲーム脳的にはスキルを覚えるんじゃないかと期待してる。


 気分的には斬撃とか飛ばしたり、必殺技みたいな派手な技が使いたい。


 今考えている技の候補は魔力を刀の形に固定して戦うか、ハンドの魔法に剣を持たせて戦う、ハンド自体を鞭のように使うか。


 この前に庭の木に試したら、魔力の刀は強度不足と刃が付くほどの鋭利さが再現出来ない。ハンドで木剣を持つことは出来ても木を叩くと衝撃で木剣を持っていられない。ハンドを鞭のようには使えるがそれだけではこの世界は生きていけない気がする。


 お父さんの素振りを見たけど、5メートル位離れていても風圧で倒れそうだった。


 この世界の剣士は化け物ばかりなのか?  


「レイ、素振りばかりしてないで一緒に打ち合おうぜ!」


打ち合いが大好きなブラットが自分にも一緒に木刀で打ち合うと誘ってくる。


「いや、もう腕が痛くなってきたから今日は止めておくよ。それにしてもブラットとエレナはずっとそんなに動き回って体力がよく保つよね?」


自分は素振りを100回もやれば腕が痛くなり、明日には筋肉痛になってしまうのでは?と心配になるのに、ブラットとエレナは1時間くらい打ち合いをしているのにまだ余裕そうだった。


「まあな、まだ肩慣らしだから疲れてはいないぞ」


「えっ? マジで?」


「ああ、これからが本番だぜ。エレナもそうだよな?」


「そうにゃ~。レイは体力も足りなすぎるにゃ~」


「マジか……」


その後、2人の本気な打ち合いを見て、幼なじみの2人もお父さんみたいな化け物候補かもしれない。






 今日は木剣が重いので自分用の軽くて短めな木刀を作ろうと思っている。小太刀みたいなやつかな。


「今日は自分用の木剣を作りたいから訓練パスで!」


「いつも使ってるのじゃ、ダメなのか?」


「あれでも僕には重いんだよ。 だから軽くて、少し短いのを作りたいんだ。」


「レイは体力とかないから、もっと肉食えよ。」


「いや、 そういう次元の話ではないんだよ!」


(基本スペックが違うんだよ! 発想が脳筋かよ!)


 




 目の前には1メートル位の角材がある。


 木剣に使うには軽いがまあまあな硬さがあるから練習用には良い木刀が出来そうだ。


 なぜ自作しようと考えているかと言うと、素材の極みの効果を試したかった。


 木材の加工についてはかなり得意だったけど、木刀の作り方なんて分からないからオリジナル木刀だ。


 まずは木を荒削りして形成、そしてひたすら研磨。

 最後に木刀後ろ半分に薄く切れ込みを入れる。

 普通に使えば強度が落ちるが、そこは切れ込みに強化したハンドを流し込み使う。


 魔法剣みたいに魔力強化した木刀の完成。


 木刀を操っている風に見せて魔力操作を使えばかなり細かく速く振れる。


 鑑定してみると。


【神木の小太刀】・御神木を使用した小太刀。

 魔力を流すと魔除けの結界を発動。


(コレ、ダメナヤツジャナイカ?)


(なんで普通に買える木材が御神木に変化してるんだ。)




 ……当分は【素材の極み】の使用は控えよう。


 これがパッシブスキルじゃなければ悩まないのに……。



 魔力流したけど見た目は普通の小太刀だからばれないかな?


 魔力流しながら小太刀を振ると速くて気持ちいいかも。



 ……とりあえずこれで魔力流しながら素振りするかな。

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