第18話 小さな革命
自分はやっと4歳になりました。 4歳になるとかなり自由度が上がり、家の中なら好きに行動して良くなっていた。
今年からはお父さんの許可を得て、食事革命をやろうと思っていた。 随分と前から気になっていたけど、うちの台所にある調味料がかなり充実していると思う。 そのなのにお母さんが使う調味料は塩とコショウだけの時がほとんどであった。
何でも、この町は立地的に行商人がよく通る宿場町と言う事もあり、お金さえ払えばいろいろなものが手には入るらしい。
うちの台所にある調理器具とか、調味料も食堂を経営しているシーラさん(ブラットの母親)の勧めで便利なものが揃っている。
コンロとか冷蔵庫があるのを見た時はびっくりしたものだ。 てっきりもう少し文明が低いのかと思った。 でも前世に比べたらかなり文明は低いと思う。
……。
というか、お母さんはなんでこんなに恵まれたキッチンであんな美味しくない料理が作れるのか不思議だと思う。 見た目はお嬢様の様に優雅だから、実はどこかの箱入り娘だったのかもしれない。
とりあえず自分はお昼のスープを自由に作って良いことになった。
今回は下準備とかは時間が無かったから次回以降に手間をかけようと思う。
まずは出汁を取らないと………。
今回は煮干しっぽいのがあるからそれで出汁をとろうかな。
煮干しの頭と内臓を取って身を裂く。
(これでかなり違う)
煮干と水を鍋に入れて少し放置。
(本当はもう少し長く取りたい)
煮干しの入った鍋を火にかけて強火で一度、沸騰させる。
直ぐに弱火にして浮き出たアクを取り除きながら数分間煮出す。
ザルで濾して完成。
鍋に出汁とひとつまみの砂糖を入れて火にかける。
少しベーコンを長細く切り入れる。
あとは野菜を食べやすい大きさに切り、堅いものから順に入れてアクを取りながら煮る。
(味噌とか醤油が欲しいけど、うちには無いんだよな。)
(塩とこしょうはあるからそれで味を付けて……。)
味見をして微調整かな。
!!
……予想以上に旨くなってるぞ。
美味しくなるように作りはしたけど、それでもこの美味しさはオカシイ。
野菜本来以上の旨味が染み出てるような優しい味がする。
そういえばスキルに素材の極みってあったな。
あれって建築材や鉱石とかの素材かと思っていたけど料理に影響するのか?
でも料理スキルが影響してるかも。
スキルの影響範囲が分からなすぎて困るな。
もう分からないことは諦めて仕上げるかな。
あと、妹のスープは粗みじんにして食べやすくしてと。
☆
お母さんは芋を蒸したものとパンを用意していた。
「お母さんスープ作ってきたよ~」
「ありがとうね。手伝ってくれて助かるわ。」
そしてみんな席について食べ始める。
最近、妹の食事担当は自分である。
「レイ、このスープ凄く美味しいわ!! もしかしたらシーラが作る以上かも!」
お母さんが突然大きな声で話しかけてきて、妹はびっくりしていた。
(まぁ、自分でもそうなるかもしれない。 4歳の子供が初めて作るにしては旨すぎる。 出来ればスキルのことはあまり知られてないから誤魔化したいな~)
「そこまでじゃないよ~。 初めて手伝ってもらったから美味しく感じるんじゃない?」
「……そうかしら? そう言われるとそんな気もする?」
(強引に行けば、いけるか?)
「お昼食べたら遊びたいから、さっさと食べちゃおうよ。」
「そうね…… 食べちゃいましょう。」
「フローラもしっかり食べようね~」
妹もスープを嬉しそうに飲んでくれた。
とりあえず妹の笑顔が見れたから良いかな。
あとで【パッシブ】スキルについて考えよう。
その後はレイがスープ担当になるのだった。
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