俺と部下が異世界に召喚されて世界を変る 〜 英雄章 〜
きぷれす
プロローグ
ある人からの言葉で人生が変わる、と言う事は長い人生を送っていれば必ず経験する事だろう。
そして、俺の人生がスライムに変わったのは、とある人の言葉が原因だった。
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俺は、24歳であるIT企業の社長をしている。
24歳で社長はおかしいのでは無いか?と、言う人も居るかも知れない。
実は、前社長が定年退職する前に、最後の言葉として、俺が社長に就任しろ。と、言うことだった。
周りから見れば、妬みがあるかも知れない。
だが、俺はこの会社に貢献してきたのだ。だから、周りは素直に受け入れてくれた。
そして、俺はこいつと長い付き合いになるとはこの頃思ってもいなかった。
「社長! 今日の14時から行われる会議の資料です」
俺の部下だ。名前は、柴田だ。32歳のゲーマーでイケメン。凄い、馴れ馴れしいのが特徴だ。こう言うのは、俺から見れば一番勿体無い人種だ。
「あぁ、ありがとう」
「ところで、社長!最近忙しいようですが、俺と息抜きにゲームやりませんか?」
突然、ゲームをしようと振ってきた。
だが、俺はゲームが苦手だ。小学校の時、よく、じゃんけんでリーダー、学級の係を決めた事は皆んなも少なからずあるのでは無いだろうか。その、ゲームすら1度も勝った事が無いのだ。
「ゲームは苦手だ。俺とやってもつまらんぞ?」
「はい!大丈夫です!ゲーム内容はじゃんけんです!勝った方が好きなお願いをしても良いと言う権利が与えられます!」
「うん………はぁ!!? いや、ちょっ…」
俺の言いたい事を遮るように、柴田がじゃんけんを始めた。
「じゃんけんぽん!」
俺は慌てて出してパー、柴田はチョキを出した。うん、いつも通りだ。うんうん!と感心していると柴田はニヤニヤ笑いながら言った。
「社長!俺の勝ちですね!では、お願い事として、私と一緒にRPGゲームをしてください!」
RPGゲームか…一番苦手なジャンルのゲームだ。
「ちょっと俺には、難しいかな」
と、遠回しに俺が拒否してるのに、柴田はゲームのルールですからね!ちゃんとルール通りやらないとダメですよ!とか言ってくる。
こんなやり取りを5分ぐらい続け、俺はもうこいつに何を言っても仕方がないと思ったので諦めた。
「分かった」
すると、柴田が即座に懐から課金する為のプリペイドカードを取り出した。そして、俺のパソコンの方に来てお金を入れていき、勝手にソフトをダウンロードしやがった。
「俺の奢りです!今日の仕事が終わり次第社長のお家に伺いますね」
そう言うと、そそくさと部屋から出て行った。
「勝手に家に来るとか決めやがって…」
そんな文句を言いながら、会議を出て、帰宅する瞬間まで来た。すると、柴田が来た。忘れていた。奴の存在を…。
「一緒に帰りましょう! そして、帰ったらゲームをしましょう!あ、あと、これUSBです! ゲームをしたいときは、これをパソコンに挿入して下さい!」
いつの間に、USBにデーターを移していたのやら… 抜け目もないな…
「じゃあ、家に帰るか」
「はい!」
俺の家は、電車に揺られること10分、徒歩で5分歩いたところにある。家と言うかマンションだ。このマンションは大学に通学している時から住んでいる。ちょっと古いマンションだが、家賃は安いし、部屋も広い!
「これが、社長の部屋ですか…… なんか安心しました」
「なんでだ?」
「高級感あるマンションに住んでそうなイメージがあったので! あ、別にこのマンションが悪い訳では無いですよ?! 部屋も広いですし!」
無茶苦茶なフォローを入れられたんだが…… でも、俺がそんな所に住んでるイメージがあったとはな…
俺らは、俺が普段使う書斎室に行った。書斎室には、ソファーが対になっていて、真ん中にテーブルが置いてある。柴田が自分のノートパソコンをテーブルに広げて言った。
「早速ゲーム始めましょう!」
「俺は色々分からないから、全て教えてくれ」
俺は家にあるノートパソコンにUSBを入れた。パソコンのホーム画面にsword & magic 〜Road to the Brave〜 と言うアプリが出現した。俺はそれをクリックし、アプリを起動していく。
すると、アバター設定の画面に行った。
「なぁ、これ自分のリアルに似せた方がいいのか?」
「いや、偽なくても問題ないですよ。実際に俺は女性のアバターにしてますから!」
柴田の画面を見てみると、艶やかな銀髪で、紫色の綺麗でぱっちりとしている目の美少女だった。
「俺も女性のアバターにしてみるか」
「あ!じゃあ、こうした方が可愛くなりますよ!」
柴田が俺のアバターを勝手に作り込んでいく。それから、10分ぐらいでアバターが完成した。出来上がったアバターを見てみると…青色のプニプニしたものだった。そう、スライムだ。
「なぜ、スライムにしたし! てか、どうやった?」
俺はツッコミを入れるが、柴田はバッグからよく分からない書類を取り出して俺に見せた。
「これはですね! 俺が世界で唯一、ソロプレイで魔王を倒したらしくて、数日後、このゲームの本社からアバターの作成を1回だけ自由にできる書類が送られて来たんですよ! 書類に書いてあるパスワードを打ち込むとできますよ!」
「凄いな…」
俺はこのアバターであるスライムを大切にしようと思った。我ながら、変な感情に陥った事は今でも後悔している。
アバターを決定し終わると名前を決める画面が出た。俺は、ピノにした。理由は、急に食べたくなったからだ。因みに、柴田のアバターの名前は、サバ。何故か、魚だった。
『名前を決定する』のボタンをクリックすると、プロローグが流れ始めた。
〜あなたは、この世界を救う為にやってきた魂です。この世界には、魔王と呼ばれる存在がいます。魔王には、部下と呼ばれる10人の柱がいます。魔王…名の通り魔王なのです。今や、人間の脅威となっています。どうか!あなた様のお力を貸して下さい!〜
ん?今、ナレーションの声と違うような声が入ったような…
「社長!今なんか変な声入りましたよね?」
「やっぱり、柴田も聞こえたよな?まぁ、気のせいだろ。とりあえず、コーヒー用意してくるからそこで待ってろ」
俺はコーヒーを用意する為に、書斎のドアを開けた。すると、辺りは真っ白な空間になっていて、リビングなんて部屋は存在していないようだった。
「柴田……これは……どうなっているんだ?」
突然、ドアから光が迫ってきて、俺らを飲み込んでいった。
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俺らはふと目を開けると、視線が低かった。それに、周りに大勢の人が俺を囲んでいた。そして、前を見ると、女神の像があった。多分、ここは教会だ。それに、ゲームでのプロローグに出てきた風景と似ていた。
すると、魔法使い見たいな格好した女性が近づいてきた。
「勇者様! お待ちしておりました!?? スライム!?」
ある女性が驚きながら硬直している。周りも騒ついている。俺は頭に疑問符を浮かべていた。
すると、魔女の格好をさした艶やかな銀髪で、紫色の綺麗でぱっちりした目の10歳ぐらい少女が降ってきた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
ドスッ。俺を下敷きにしやがった。そして、少女が申し訳なさそうに俺から離れる。俺は、あの時の柴田のアバターを見ていた。
「痛いぞ! って、まさか柴田か?!」
俺が喋ると、周りが更に騒ついた。
「スライムが喋った?!」 「嘘だろ!?」
スライム?何の事だ?
「そうですよ! って、まさか社長?!」
「あぁ、そうだが。それよりも、周りが言ってるスライムって何だ?」
「社長の事ですよ! 社長スライムになってますよ!」
「はぁ?!そんなはずは無いだろう!」
すると、柴田がすぐ近くにあった鏡を持ってきてくれた。俺はそれを見ると、青いプニプニした肉体。そして、目も無く、口も無いスライムだった。
「……受け入れ難いが…スライム…だな…」
俺らが会話していると、金髪の女性がこっちに近づいてきた。周りはザ 魔法使いって言う格好だけれども、その女性はメイドさん見たいな格好をしていた。
「お話中申し訳ないのですが… どっちが勇者ですか? 勇者様を召喚するにあたり必ず1人な筈ですが……」
「俺らです。俺らが召喚されたのなら俺らが勇者です」
柴田がそう言ったが、メイドさんは柴田の意に反することを言ってきた。
「いえ、歴代の勇者達は1人ですよ?」
「例外もあるはずです」
柴田が即座に反論した。すると、メイドはしばらく考えて納得してくれた。正直、分かりがいい人で良かったと思った。
「先程は失礼しました。勇者様方、無礼ですが、レベル拝見させて頂きます」
その瞬間、場の空気が一変した。何と言っていいか分からないが、メイドさんから凄いオーラ見たいのが放たれていた。
「なるほど、スライムのピノ様がレベル1で、サバ様が999レベルですね」
メイドはどこでレベルを見たのか分からなかったが、柴田のレベルが有り得ないんだけど。
「申し遅れました。私はチナです。勇者様のメイド長です。王様がお待ちになっておりますので、お城に来て頂きますね」
俺は今は美少女である柴田の頭の上に乗ってお城に向かった。
そして、俺らの冒険はここから幕を開けた。
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