第3話 なんで、翼が・・・?

「…………………………へ?」

間抜けな声が、ポロっと漏れ出た。

―――そして。



「…え、ええぇぇぇぇぇぇぇぇーーーー!?」

『あたし』の絶叫が、辺りに響いたのだった。






・・・ようやく落ち着くと、まずは確認から始めた。

とりあえずくるり、くるりとその場で回ってみる。その度に、翼はなびきながら同じ方向に動いた。

(…背中から取れたり…いや、普通はしないな)

ほんの少しよこしまな考えをしつつ、今度は翼を広げようと動いてみた。

がしかし、どうすれば広げられるのだろうか?そもそもどうやって上下に動かすのか。

(…わからんな~)

やり方がわからないので、さっき〝翼がほしい〟と願ったように、今度は〝翼を広げたい〟と願ってみることに。

すると・・・バサリッ!という音と共に、鷲のような鷹のような、それでいて梟のような翼が左右に広がった。同時に、少しだけ周りに風が渦巻いた。

「お、おぉ~…。」

驚きつつ、出来たことに嬉しさを感じた。そして、さっそく観察を始めた。


まずこの翼、片方の翼の先からもう片方の翼の先までの長さがデカイ。たぶん『あたし』の身長の倍はあると思う。

それから色。今は光ってないけど、それでも羽の色が金色。とてもきれいで儚く感じる。

形に関しては、さっきも言ったけど鷲と鷹と梟の翼を合わせたような感じだ。畳んでいても、折れているところが頭より上にある。

手を後ろに回して触ってみると、なんとも言えない気持ち良さがあった。絹のような触り心地と羽布団のような軽さ、そしてほのかに〝触っている〟という感覚がする。翼の根元を引っ張ってみると、〝痛い〟という感覚も感じた。




―――これで確定した。この翼は、夢でも幻でもないことを。実際に存在していて、もうすでに身体の一部になっていることを。




次はその翼の使い方の確認だ。

先ほど、〝翼を広げたい〟と願えば広げることができた。それを願うのではなく意識して使えないか、または自分で動かせないか・・・そう考えて『あたし』は、それを調べてみることにした。

まずは翼の方に、〝翼を広げて飛ぶ〟という意識を集中させる。それから、〝翼を広げて飛ぶ〟意識を〝翼を動かす〟意識に切り替える。

すると・・・ぴくり、という感覚とともに翼がゆっくりと広がった。そして、上に下に少しだけ動いた。

(…なるほど、こう動かすのか)

感覚を掴めたようなので、今度はそれを大きく動かすことに意識を集中させた。

しばらくはその練習に、(どのくらいかかるかわからないが)時間を費やすことになりそうだった。




数分もすれば、無意識でも翼を動かして〝飛ぶ〟ことができるようになった。ただ、時々意識してないと空中でふらついてしまうが。

(もう、たくさん飛んでも大丈夫だよ…ね)

不安はあるけど、さすがにもう草原ここにいたくない。暇で暇で退屈になりそうだ。

『あたし』は気合いをいれると、翼を広げた。そして、





―――大空へと、飛んだ。

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