「STARS」
天宮シオン
第1話
大都会に立ち並ぶ大きなビル、その中に佇む一軒のカフェ。そこは、仕事の疲れを癒しに来る人や家族連れで来る人たちで繁盛していた。また、そこで働く店員は皆優しく、老若男女誰からも人気だ。しかし彼らには、お客さんに見せたことのない顔がある。彼らは実は_____
*****
「ふ〜。お昼時終わった〜!」
「お疲れさん!はい、お水。」
「ありがとー!」
稜樹から貰った水を一気に体に流し込む。冷えた水が、動き回って熱くなった体にちょうどいい。
「最近はお客さんも増えて、嬉しい限りだね!」
「稜樹もちゃんと水分補給したほうがいいよ!今年は暑いからねー!」
季節は夏、人が多かった為クーラーでガンガンに冷やされた店内は、まるで冷蔵庫のようだった。
ここでいきなりですが、ちょっとした自己紹介。
僕は相川春馬。ここの店長をしている。ここでは各店員にメンバーカラーが決まっていて、僕は赤。困っている人を放って置けない性格なので、よくお人好しって言われる。
今一緒に話していたのが、空本稜樹。子供からお年寄り、動物にまで好かれる好青年。 人と接することが好きで、よくボランティアなどに参加している。メンバーカラーは黄色。
「お外の掃き掃除終わりました〜!」
今掃除から戻ったのが、椿玲音。ここで働いているけど、本当はいいところのお坊ちゃん。上流階級のお友達がたくさんいるらしい。メンバーカラーは紫。
「僕たちのお昼ご飯が出来たのです!」
「早く来ねーと冷めちまうぞー!」
“〜のです!”という話し方をしていたのが、連城悠。パソコンなどの電子機器に強くて、その面では頼りにしている。料理が上手だから厨房担当。メンバーカラーは緑。
男らしい話し方をしているのが、櫻田風也。高校生の時はバリバリの不良だったが、今はもう丸くなっている。でも、喧嘩の強さは健在。ただ、女性が苦手なため、彼もまた厨房担当。メンバーカラーは青。
カフェはこの五人で切り盛りしている。だけど、このカフェは水曜日の夜中に来ると対応が異なる。その時間帯には、依頼人...主に警察官が、依頼を持ってやってくる。
「STARS、仕事だ。」
*****
僕らの裏の仕事、それは警察お抱えの何でも屋。チーム名は「STARS」これは僕たちの名字のイニシャルをとって並べたもの。警察で処理しきれないような仕事、数が足りない時の手助けをしている。秘密文書の廃棄や監視カメラの確認、設置などのような小さいものから、麻薬密売者や殺人容疑者などの追跡、確保のような大きい仕事まで請け負っている。さて、今回の依頼内容は…。
「今回は軽いものだ。日向夏海、二十一歳。ストーカー被害を受けているらしい。」
ストーカーと聞いて、悠が眉をひそめた。
「なんでストーカーなんてするのです?相手のことが好きならスパッと言えばいいのです…。」
その言葉にすかさず稜樹が反応する。
「じゃあ悠は出来るの?」
「そんな事出来ないに決まっているのです!」
「でしょ?じゃあそんなこと言わない。」
「そ、そうなのですけど!ねちねちつきまとうなって思わないのです?」
「それはそう思うよ。ストーカーなんてする意味わからない。」
「俺も同じ意見だ。そういう奴は一体どういう脳みそしてんだ?」
「まあまあ。今回は、ストーカーの確保ということでよろしいですね?」
玲音が依頼を持ってきた警官に尋ねると、警官はコクリと頷いた。
「明日の九時頃、夏海さんが詳細を話しにやって来る。それをもとに行動しろ。」
それだけいうと、夏海さんのプロフィールを置いてそそくさと帰っていった。
「今の警官さんって、何かと忙しそうですよね。」
「昔と比べて、犯罪の手口が巧妙化してきてるからね。お爺ちゃんお婆ちゃんに注意喚起しなくちゃ!」
「とりあえず、今日は解散ってことでいいよね?明日にならないと、詳しい事わからないし。」
「ま、そういう事になるな。すると、明日はランチからの営業になるだろ?」
「被害者に話を聞いてからですから、必然的にそうなるのです。ふぁぁ…もう寝ていいのです?今日は朝早いうちから仕込みがあって、あんまり寝れてないのです。」
「わかった。じゃあ今日は解散!」
僕の一声で、それぞれ自室に戻っていった。カフェの2階は僕たちのシェアハウスとなっていて、普段からここで生活している。僕はみんなで回している業務日記を書いてから寝た。
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