第32話 ぼいじゃー

 グッモーニング、僕はボイジャー。

 母なる地球に別れを告げて、今から向かうは木星圏。

 分厚いガスの雲は絶え間なく変化して、僕を楽しませる。

 ああ、僕の故郷ふるさとは。僕らの地球は。

 漆黒の宇宙空間の中で、あんなにも青く美しい。


 ハロー、僕はボイジャー。

 海王星に別れを告げて、次に向かうは冥王星。

 冷たい氷で覆われた星の向こうに、衛星カロンは優しく寄り添う。

 ああ、僕の故郷ふるさとは。僕の愛する地球は。

 今はもう、あんなにも遠い。


 グッナイ、僕はボイジャー。

 太陽系に別れを告げて、次に向かうはオールトの雲。

 ここまで来ると、太陽風はもう届かない。

 僕の声が届かなくなるのも、もうすぐだ。

 ああ、僕の故郷ふるさとは。僕の生まれた地球は。

 きっと、今でも美しいままなんだろう。

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