第14話    

 彼岸の季節に、彼は決まって顔を出す。

 昔と変わらぬ、優しい笑顔で。

 大きな大きな、河の向こうから、こっちへおいでと手招きしている。

 ごめんね、私の大好きな人。

 私ももうすぐ、   に行くからね。


 彼岸の季節に、僕は決まって顔を見せる。

 泣きそうな彼女に、伝えるために。

 大きな大きな、河の向こうへと、こっちへ来るなと合図を送る。

 ごめんな、僕の最愛の人。

    は、思っているほど、良い世界じゃないんだよ。

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