第2話 とりはよりそう

 私はいつも考える。

 あの鳥のように、大空を飛べやしないかと。

 双翼そうよくを精いっぱい羽ばたかせ、蒼穹そうきゅうを風切り裂いて進めば、それはどんなに気持ちが良いだろうか、と。

 鳥たちが、どんなに険しい道のりを旅するのかを知らないくせに。


 僕は時折考える。

 あの鳥のように、自由に生きていられたらと。

 疲れた時には電線にまって羽を休め、誰かの撒いた餌を啄んではまた大空に飛びたつ。

 鳥たちは、決して自由などではないと分かっているのに。


 ワタシはいつも不思議に思う。

 どうしてヒトは、溜息ばかりつくのかを。

 ナヤミなんて、この空を飛んでさえいれば、すうっと溶けてしまうというのに。

 それが、ヒトにとって残酷な答えだと知っているのに。


 ボクは最近、フシギにカンジる。

 どうしてヒトは、あんなにバラバラなんだろうと。

 皆で纏まって動けば、怖いモノなんてありはしないのに、と。

 それが、ヒトを大いに悩ませる問いだという事に気付かないふりをして。


 そうして鳥は、人と寄り添う。

 そうして人は、鳥に寄り添う。

 互いが決して、相容れられぬと理解しわかったうえで。

 互いはきっと、分かり合えるとうそぶきながら。


 宇宙そらの揺りかごの下で、二つは永遠にすれ違い続けるのだ。

 

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