鬱屈カクテルレシピ

韮崎旭

鬱屈カクテルレシピ

 まず憂鬱や鬱屈、鬱積、などを(混合物でも構いませんが、できればどれか1種類のものが良いでしょう、うまく混ぜれば非常に良い食味を呈しますが、その配合はその日の天候や人間の体調などにも依存するため、慣れない方は、いずれか単体から始めるのが無難です。なお、まずまずの食味になる比率としては、憂鬱:鬱屈:鬱積が2:1:7があげられています。(参考:『自宅で簡単!トリップアドバイザー300選』工廠舎、2015、「自宅で簡単!シリーズ」など)任意の容器にあけます。

 次に、不安定要素を添加します。

 さらに、食塩を想定される完成品全体の重量に対して3%ほど加えてください。塩の種類(由来が海水であるか、岩石であるか、工業的に生産されたものか、など)はお好みで。ある種のアミノ酸などの添加されたものが、わざとらしい人工的な印象が鼻につくため、望ましいと一般にされています。

 ナトリウムランプ15ml。

 入眠困難を200ml。(入眠困難は、無色透明な結晶で、アルコールによく溶けるので、30%以上のアルコールを含有するものを溶剤として用いるとよいでしょう。またアルコールと入眠困難の相互作用はこれ;完成品の作用をより趣深いものに往々にしてすることが、しられています。)

 インク、またはインクのように不味いコーヒー、または不味いコーヒーのような味のインク。

 失望(角失望として販売されているものを2,3個)。

 怨嗟20g。

 といったところ。


 キャラメル味のポップコーンはこれに随伴して食べるものとしては甘すぎるので、血液で塩味を足しましょう。

 ふと目を遣ると、床にはなにやら多重な血痕が時間の経過を感じさせる不衛生を形作っている。掃除を怠ってきたからだ。古いものはもう何だったかわからない程変色が進んでいるが新しいものは生々しい血液らしさを感じさせると言われれば納得しかねないありさまだ。

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