逃視
ミルクティ
第1話 同情
朝起きる。
激しい頭痛に襲われたかのような激しく苦しい夢を見たような気がした。
何をやる気も起きずとりあえずリビングに座り君に挨拶をする。君はこちらを見て笑いかける。
コーヒーを飲んで一息つき、ふとカレンダーを見る。
8月25日(金)
僕の束の間の夏休みは終わっていることに気づく。遅刻だ。
直ぐにスーツに着替え、君に挨拶をし会社に向かう。
玄関を開けたまま挨拶したからか、隣人がこちらを見て何か話していた。
そんなことに構っている余裕はない。
僕は会社へと急いだ。
会社に着いた。30分の遅刻である。
上司の元へ行き、謝罪を伝えると、
「まぁな、ああいったことがあるならば別に休んでもよかったんだぞ」
と言った。なんのことなのか分からず、笑顔で会釈をした。
同僚からも変に気を使われているような気がして少し居心地が良くなかった。
帰り際同僚に呼び止められる。
「お前も体には気をつけろよな。まぁ、悲しいことではあるが、病むんじゃないぞ。」
と言われた。さらにどういうことか分からなくなり、尋ねると、同僚は同情したかのように
「まぁ、あれだ。今度飲みに行こうな。」
と言ってきた。全くもって意図が掴めなかったが、とりあえず笑顔でうなづいておいた。
彼女を待たせる訳にもいかないので、小走りで家に帰った。
家に着くと、君は座って本を読んでいた。
いつもより少し透明感が増してるように見えるのはテーブルランプの光が強いからだろうか。
僕は笑顔で「ただいま。」と言った。
君は笑顔で僕の顔をみた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます