逢わせ人

ミウ天

叙説への前口上

 まずこの話をするには、これまでのことを、事細かに詳しく叙説しなければならないだろう。

 とてつもなく如何わしく、疑わしい真実を信用してもらうには、それくらいしか方法はない。

 小説や漫画の世界は、所詮、全てが嘘だ。

 でも、そう思うにはあまりにも設定が凝っていると思わないか?

 つまりは、そういうことだ。

 嘘が真実味を帯びるのは、そういうことだ。

 馬鹿が二次元げんそう三次元げんじつの境界線を理解せず、馬鹿な事件を起こすように、

 話ってのは、凝れば凝るほど現実との違和感が無くなってしまうんだ。

 荒唐無稽な話なんて、いくらでもある。

 神。妖怪。悪魔。UFO。宇宙人。怪獣。超能力。その他諸々の都市伝説。

 しかし、そのどれもが、現実として存在していると信じている連中がいる。

 それは構わない。信じるも信じないも、その人次第だ。

 

 ただ、例外が、あるとしたら?


 要するに、信じるか信じないかとか、いるかいないかとかいう、想像上での意見ではなく、


 信じざるを得ない状況に陥ってしまったとしたら?

 

 その存在を実際に証明されてしまったとしたら?


 前置きが長くなってしまったな。

 そろそろ、書き出すことにしよう。

 俺の大馬鹿野郎の知り合い達が織りなす、現実味のない、それでいて、嘘の一つもない、真実の話を。


『霊』がこの世に存在するという、馬鹿げている世界に存在する、誰かをその手で救い出せると、信じて疑わない人間の、現実の話を。

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