29話応援

「でしょ」


まあいいだろう。


本日の報酬は、彼女の笑顔ということで。


いつしか遊説を終えた候補者のおじさんが、僕たちのところに駆けつけた。


僕の募金箱に3万円を入れて握手をした。


そして「がんばれよ」と一言いって去っていった。


そのあと彼女からツンツンとされて紙切れを渡された。

そこのはこう書かれていた。



「LINEのIDは?」


僕はこう答えた。


「LINEって?」


「え?マジで言ってるの?」


「うん」


「スマホのアプリよ」


「僕普通のパカパカだよ」


「え?うそ。マジガラケーなの」


「ガラケーって」


「ガラパゴス携帯の略よ。知らないの?今時スマホが常識よ。ウケる」


いままでこれが主流だっていうのに、


この1年でずいぶん変わってしまったもんだ。


まるで異端児みたいな言い方をしやがって。


でもそんなことをおもいつつも、


こんなたわいのないことを手紙でやりとりしても、


今のこのデジタル時代には時代遅れなんだろうけど、


とても楽しかった。



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