17話頭のいい彼女

いやその筈はない。


彼女はすでにほかの部にも入っているし。


ということは僕以外のその多数と同じ理由で入部しているというわけだ。


ハハハ。


そうさ。僕はどうせ、よこしまな理由でしか入部しない人間ですけれども。


でもそんな僕の性格も踏まえて入部を誘導した彼女もかなりしたたかで、一枚上手であるなとは思う。


おそらく一生彼女にはかなわないだろう。


で、入部早々JRCメンバーにプリントが配られた。


顧問の先生によって。


でそのプリントには「赤い羽根共同募金」の文字が書かれていた。


そうか。早速部活動というわけか。


しかも、日付みたら日曜日にあるし。


そりゃそうか。


募金活動といえば一日中するものだし、休日だから、その方が街に人がいっぱいいるわけだ。


まあ、普通に考えればそうだよなあ。



このJRCの活動は部に入っても強制参加ではない。



任意での参加になるわけだ。




だから当然僕は行くつもりはなかった。





だがそんな僕の性格を彼女は全てお見通しだった。




プリントを配られて1分後くらいだろうか。





ツンツンと背中をつつかれて振り返る。





「いくよ」




「いや僕はいいよ」




「参加しないと面接のとき何も言えないよ」


「ゔ、、、」


というわけで僕は人生で初めて募金活動をすることになった。




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