魔術世界の玉座《いす》取り戦争《ゲーム》ー海上都市国家・三神王都ー

七四六明

開戦

第八次玉座取り戦争

 第九次玉座いす取り戦争ゲーム

 それは九人の参加者が、愛を喪失し、また獲得した物語。

 この戦争によって天界は一度滅び去り、世界は新たな姿へと変貌し、天界もまた新たな国として再び空へと舞い上がった。

 この話はいわば、世界そのものが変化した戦争の、五〇年前にまで遡る。

 つまりそれは、第八次玉座いす取り戦争ゲーム開戦の年。

 世界各国の魔術師、戦士、騎士――その他一切の魔術に覚えのある者達による玉座争奪戦争。

 あらゆる願望が叶えられるだけの知識と魔術が与えられる玉座に座るため、九人の魔術師が覇を競う。

 アソーティタの王女、白雪姫しらゆきひめ

 堕天した元熾天使階級天使、銃天使じゅうてんし

 ヴォイの皇后、屍女帝しじょてい

 リブリラより、その名の通りの強運者きょううんしゃ

 亡国の生物兵器が一体、剛修羅ごうしゅら

 滅失する者、される者、重複者じゅうふくしゃ

 天界の最高戦力、熾天使してんし

 祈りを捧げる龍の子孫、龍巫女りゅうみこ

 最悪、凶悪、絶対悪ぜったいあく

 以上九名の魔術師、戦士によって行われた第八次戦争は、言うなればこの五〇年後に起こる第九次戦争に、布石を打つが如き一戦だったと第九次が終わった段階で語ることができる。

 世界の変質は五〇年も前から、この戦争から起こっていた。

 もしかするとこの九人が選ばれたことも、あの方が動かれたことも、この第九次の世界変動の布石だったのかもしれない。

 ならば語らねばなるまい。残さねばなるまい。

 この物語を、この戦いを。

 世界変動の序章となった、この第八次戦争の物語を、後世へと伝えねばなるまい。

 故に聞いてほしい。この戦いの物語を。

 第八次玉座いす取り戦争ゲームの、全貌を。

 そのまえにまずは、九人の魔術師について語ろう。順に、順々に。

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