詩集 草月流

凪常サツキ

ちはやふる・やまと


 千刃破ちはやふ

惟神かんながらの地 草木に 我が“あはれ”に足伸ばし

葦原の根付くここ山富やまと



 脚退あしびきの

山幾たびも 背に置きて 唾枯つかれてなおも 旅支度

冬向く秋か蜻蛉島



 鷹照らす

日を浴びれども 寒心 郷の身すらも爪痛つめたいか

此処路こころに振れる たなごころ



 浅霞み

晴日木洩れば 誰そ彼たそがれと 仕合せなれど 来合せに

恥早降ちはやふる神のいたずらと問う


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