君の中の僕に
@mi-ro-ku-monnji
第1話 君の宝石をいただきます。
いつも見るもの。
遠く遠く先にあるのは
黒く光る四角い宝石。
私はいつからか抱くようになった。いつからか・・・・・。記憶はない。
気づけば私は私というものを拒むことにした。そして、誰しもを拒むことを選んだ。
歪。
そうかもしれない。人として嫌なことがいつの間にか黒い闇に変わる。そして気づけばきらりと光るのだ。まるで地層に圧縮されて生まれる宝石のように。そしてそれを私の中のパンドラに埋める。
ひとつづつ。
嫌なこと、最悪な気持ち。色々。
そして眠る。
深い深い闇に。
落ちていく途中である日
「君のかけらをちょうだい。」
やぶからぼうに男がやってきた。私には縁のないようなイケメンだ。
「・・・・・。」
私は驚くしかなかった。私にはもう、何もないからだ。つまらない女になっていた。私は俗世を離れた。と言っている。楽しいことも何もかもを他人事のように受け止めるようになった。結婚もしない。というよりは捨てたのかもしれない。だからあまり関心を持たず、記憶もあいまいになることが多くなった。
「あのね。僕に足りないんだ。表現者として。その闇が。できれば宝石なりがいいけど・・・・。仕方ない。欠片を頂こう。」
どう言うと彼は私の胸の中へ手を入れて来る。
「やだ!」
彼は止めない。体の中に手を入れて探し出してくる。
「あれえ。深いなあ。」
そう言うと容赦なくどこかわからないような深くまでえぐり出してくる。
「やだ!!」
私は彼の手を身体の中から出そうとり大きく声を出して抜き出す。
「ちぇっ。」
そう言うと彼は一旦私から離れて耳元にこう言った。
「まだ時間はあるからまた来まーす。」
後ろ手でひらひらと手を振り帰っていった。私はその日から最悪な夜の一瞬を迎えるようになった。
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