第5話
太陽系第三惑星”地球”。
すさまじい戦いだった。まるでクローン生産されたかのような小太りの超小男たちと私に勝るとも劣らない巨体の不細工男。まあ私の肉体の方がよっぽど磨き上げられ美しいが、あのワイルドな風貌も悪くない。今後の参考にしよう。だがだ、あのでっぷりお腹はよろしくない。今度私がシェイプアップに付き合ってやろう。兎も角、すさまじい戦いだった。小男たちを右へ左へちぎっては投げちぎっては投げ、大男に必殺パンチをかましてノックダウン。熱視線レーザーアイでトドメときたもんだ。ハハハ。悪との戦いは気持ちが良い。正義は勝つ! そして何故か裸の生娘たちを解放してやって、ここでの私の戦いは終わりを告げた。人々は私に賛辞を贈っているようだったが、いかんせん何を喋っているのか分からないものだから、取りあえず笑顔と握手にハイタッチ、お子さんの頭を撫でてあげて完了だ。地球と我が故郷は似ていると銀河宅配便は言っていたが、こんなクレイジーな場所とはな……。しかし悪は去った! さて、これからどうしよう――むっ! おっと、これは困ったぞ。スーツがコースを外れていると警告しているではないか。となると、それはつまり、ここは地球ではないのか! 悪が去り、しかし私の正義がくすぶるこの気持ちは初めから戦いが終わっていないことを私に示していたのだな。そうと分かれば、善は急げ! これは私の大好きな言葉の一つだ。今回救った彼女たちのことは何一つ分からなかったが、まあ言葉の壁など大した問題では無い。救われるべき者が居り、救う者が現れた。運命の女神のイタズラだったとしてもそれは紛れもない運命。私の運命だったのだ。ではな諸君。困ったことがあればいつでも困るが良い。その時は必ず私が悪をとっちめにやってくるだろう。さらばだ!
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