十夜 創作詩集

睦月十夜

第1話 小指の思ひ出.....

小指の思ひ出.....


あれはいつだったろう.....


物心つくまでばぁばをハハと信じて疑わなかった私。


ハハがハハではなくばぁばだと知った時、ハハに捨てられた事をも初めて知った。


月も照らさぬ暗い夜はハハに会いたいと駄々をこねた。


そんな私にばぁばは、いつも爪を切ってくれた。


ぷちん、ぷちん...


「ほら、この爪がお空に飛んでって三日月さんになるんだよ...」




ばぁばがいなくなってから、暗い夜は自分で爪を切った。


会いたい、会いたい...


溢れた涙で小指を切った。


指より心が痛くて涙がぼろぼろとこぼれ落ちた。




今でも小指が痛むと思い出す。


誰よりも愛してくれたばぁばの事を.....

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十夜 創作詩集 睦月十夜 @toya_mutsuki

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