第88話 『最弱剣士とストーカー魔法使い』バレンタイン特別編

本日、2月14日ということで、バレンタインの特別編です。

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~バレンタイン、菱谷編~


「先輩、先輩!この日が来ましたね!というわけで、チョコレートです!」

「うん、まぁ……ありがとう」

「はい、先輩。あーん」

「いや、自分で食べられ……」

「あーん」

「あーんするまで絶対諦めない目をしてるな。仕方ない、それじゃあ……(パクッ)」

「おいしいですか?」

「うん……凄くおいしい」

「良かった!じゃあ、ホワイトデーのお返しなんですが……」

「俺の髪の毛とか爪とかっていうのは、無しな」

「どうして、分かったんですか?」

「いや、分かるよ。前にも……なぁ、菱谷」

「はい」

「このチョコ手作りか?」

「はい、そうです。真心を込めて作りました!」

「……チョコ以外に、何か入れたか?」

「隠し味に私の■とか、■とか、■■とかを入れました」

「おえええええええ!」

「あっ、先輩?急にトイレに駆け込んでどうしたんですか?お腹でも壊しましたか?先輩?せんぱ~い?」


~バレンタイン、三島編~


「はい、優斗。ハッピーバレンタイン!」

「ありがとう……って何これ?」

「私そっくりの等身大チョコレートだよ」

「どうやって作ったの?」

「魔法で作った」

「そうなんだ……気持ちは嬉しいけど、こんなに食べきれないよ」

「好きな時に少しずつ、少しずつ、食べてくれればいいよ」

「溶けない?」

「大丈夫。魔法で保存するから。溶けもしないし、腐りもしない」

「便利だね。魔法って……」

「さぁ、さぁ、食べてみて!」

「じゃあ、一口だけ頂きます」

「あっ、最初に食べるのは小指からにして欲しい」

「小指?」

「江戸時代の遊女は、自分が愛した客に愛情の証として小指を切って、渡したらしいよ。約束する時の「指切り」の語源だね」

「少し、怖いな。じゃあ、小指を食べるよ(パクッ)」

「どうだい?」

「うん、凄くおいしい!」

「それは嬉しい。好きな時に、少しずつ食べて」

「う、うん」

「私の体(チョコ)が少しずつ、少しずつ、優斗の中に……ああっ、考えただけでチョコを食べ過ぎた時の千倍ぐらい、興奮してしまうな!」

「由香里……目が怖いよ」


~バレンタイン、ホーリー編~


「ユウト様。どうぞ、チョコです」

「ホーリーさん。バレンタインを知っているんですか?」

「はい、2月14日に好きな人にチョコを渡すのですよね?」

「そうです。よくご存じで……」

「調べましたから。はい、どうぞ。お食べください」

「もしかして、手作りですか?」

「はい」

「わぁ、嬉しいです。では、頂きます(パクッ)。うん、とてもおいしいです!」

「ああ、良かったです」

「あれ?」

「どうしましたか?」

「なんだか、体が熱いです……」

「大丈夫ですか?(ニコニコ)」

「それになんだか、ホーリーさんがとても魅力的に見えます。いえ、いつも魅力的なんですが、今日はいっそう……」

「あらあら(ニコニコ)」

「はぁ、はぁ。ホーリーさん」

「はい」

「ホーリーさん、ホーリーさん、ホーリーさん……」

「はい、ユウト様」

「ホーリーさん、ホーリーさん、ホーリーさん、ホーリーさん……うう(バタン)」

「ユウト様?」

「グウ……」

「あらあら、寝てしまいましたか。薬が少し効き過ぎたようですね」

「グウグウ」

「それにしても、愛らしい寝顔……」

「グウグウ」

「これはこれで、良いものですね。このままベッドに運んで一緒に寝るとしましょう」


~バレンタイン、アイビー編~


「あの、あの……アンドウ君の世界って2月14日に好きな人にチョコを渡すんでしょ?」

「うん」

「私もチョコ作って来たんだ!良かったら、どうぞ!」

「俺に?」

「う、うん!」

「ありがとう。じゃあ、さっそく」

「ま、待って!」

「どうしたの?」

「私、料理得意だけど、チョコを作ったのは初めてなんだ。勿論、味見はしたけど……上手くできたかどうか……」

「関係ないよ」

「えっ?」

「どんな味かなんて関係ない。アイビーさんが俺のために一生懸命作ってくれたことが嬉しいんだ」

「……アンドウ君……優しい……」

「じゃあ、頂きます(パクッ)」

「ど、どうかな?」

「うん、おいしいよ!」

「ほ、本当に?」

「本当だよ。こんなにおいしいチョコをありがとう。アイビーさん」

「そ、そんな……そんなキラキラした笑顔で、ありがとうだなんて……私、私……ああっ、ああっ……」

「ア、アイビーさん?大丈夫?顔が真っ赤……」

「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

「アイビーさん!?……ダメだ。凄い速さでどこかに行ってしまった」


~バレンタイン、ハナビシ編~


「よう、アンドウ。お前の世界って2月14日に好きな人にチョコを渡すんだよな?」

「はい、そうです」

「というわけで、私も作って来たんだ。食え!」

「あ、ありがとうございます」

「初めて料理をしたが、自分では上手くできたと思う」

「それは、楽しみです。では、頂きます(パクッ)……うっ!」

「どうだ?」

「(食感が全然ない。ゴムを食べてるみたいだ。味もまるで泥のよう。は、吐きそう……だ、だけど、ダメだ。た、耐えろ。せっかく俺なんかのために手作りしてくれたんだ。何が何でも、この命に代えても飲み込んでやる!……ゴクン)」

「どうだ?アンドウ。うまいか?」

「は、はい……(うぐっ)……おいしかったです」

「そうか、うまいか!良かった!」

「……うっぷ………ほ、本当に……おいしか……(うぐっ、堪えろ!)……たですよ」

「そんなに気に入ってくれるとはな。『沢山作ってきたかいがあったぜ!』」

「えっ?」

「まだまだ、おかわりはいっぱいあるからな。遠慮せず食え!」

「は、はい……ありがとうございます……」


~バレンタイン、〇〇〇〇編~


「キキョウ。異世界にはバレンタインというイベントがあるそうだよ」

「ほう。そんなイベントがあるのですか」

「僕も彼に送ってみたいんだけど」

「……あの男にですか?」

「そう、彼に」

「……分かりました……それでは、配下の者に作らせましょう」

「いや、僕が直接作ってみたい」

「貴方様が直々に?」

「ダメかい?」

「いえ、ダメという訳ではないですが、人間なんぞのためにワザワザ……」

「フフッ。僕が彼に作ってあげたいんだよ」

「……楽しそうですね」

「そうかい?」

「はい、最近の貴方様はとても楽しそうです」

「フフフッ。それはきっと僕が恋をしているからだろうね」

「……」

「『恋は人を変える』という言葉が人間にはあるそうだ。魔物と人間は全く別物で相入れない存在だが、共通する部分もあるのかもね」

「……」

「おや、納得できないかい?」

「正直……」

「はははははっ、キキョウは人間嫌いだもんね」

「はい……」

「まぁ、その考えを否定する気は無いよ。どちらかといえば、僕も人間は嫌いだからね。彼見たいな例外もいるけど」

「……では、私はチョコレートの材料を持ってくるように配下に命じます」

「よろしく頼むよ。キキョウ。僕が最も信頼する部下」

「はっ!」

「さて、どんなチョコレートを作ろうかな?渡した時の彼の顔が楽しみだ」

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