閉幕 『消せない傷跡』
(しっかし、運が良いのか悪いのか……よくわからない事態になったもんだ)
バギーに揺られながら、ラチェットは運転手のスカルの方を見る。
(このスカルって奴に追い回されて、やむを得ずに協力して、気が付いたらコイツの何でも屋に属することになって……車や資金を手に入れたのは嬉しい限りだが、本当に信用しきっていいんだろうカ?)
まだ、不安がある。
この男は本当に、あの屋敷から手を引いたのかを。
「ぶえっくしょん!!」
(まぁそういう事、考えそうな奴じゃないよナ。うん)
豪快なクシャミを見せるスカルを前に溜息を吐くラチェット。
(電車で魔族に襲われるなんて面倒な事故はあったが……ようやくサイアムシティに迎える。このまま何事もなく到着できることを祈りたいところ)
一攫千金の仕事場を目指して、バギーは荒野を駆ける。
「すぴー」
(コイツ、また寝てやがル……)
「だめだよ、らちぇっと~。それは火山灰だからたべられないよ~」
(夢の中での俺は何をしてるんだ)
少しムカついたので、コーテナの頬をつねることにした。
「うわぁあ……」
(……全く、こんな間抜けなヤローにあんなこと言われるとはな」
間抜けなツラをした少女を前に、ラチェットはふと口を緩ませる。
この仮面を外す日はいつになるのか。
自分は生まれ変わることが出来るのか。
この顔。そして心に深くついた”傷”。
この痛みと向き合う時がきっとくる。
本当の意味で旅立ちが始まった瞬間だった----
さぁ、皆様。いかがでしたでしょうか?
昨日の敵は今日の友。新たな旅の仲間・スカルが加わり、二人の旅は騒がしいモノへとなっていきます。一獲千金の夢に付き合いつつ、二人の目的探しの旅は続くこととなるのです。
サイアムシティ。
そこには……妙な噂が立ち込めているとのこと。
それは名高いギルドのメンバー達や、街に属する憲兵たちの神隠し事件。
その事件は揃いも揃って、とある森の中で発生しているとのこと……
神隠しの噂が広まる中、隅ではこういう噂が。
森の中には……”魔女”がいる。
その魔女が、人間を屋敷に閉じ込めて食べてしまうんだとか……
おお、怖い怖い。子供達には怖いお話でしたね。
でも大丈夫……怖いのが嫌いな子供達でも、きっと次のお話も愉快になれることでしょう。この私が保障いたしますとも。
多少、鮮血はお覚悟いただきますが-----
ふふっ、”鮮血”や”魔女”なんて言葉が出てくるお話のお供に、生ハムやワインは少しばかり体に毒かもしれませんね。
また、この時間、この場所でお待ちしています。
子供達は良い子にしてるんですよ。じゃないと……魔女が現れて、あなた達を食べてしまうかもしれませんからね。おほほほ。
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