二日目 前半  一〇〇万分の一

 翌日、ようやく電力会社から報告があった。

 一〇〇万世帯が停電に見舞われたと。

 そのうちの一部が、オレたちの住む団地群だった。


 辛いのは、停電による断水だ。

 変電所は、水道を動かすポンプも管理している。


 電気が死んでしまい、洗濯ができない。風呂も入れない。


 前日の帰宅時、どうしてみんなバケツを持って団地周りをうろついているのかな、と思った。

 坂の下にある別の団地から、水をもらいに行っていたのだ。

 

 早朝、オレは駅前のドトールへ。スマホの充電をするためだ。


 自転車置き場を小さな鳥が飛んでいく。

 カラスしか見かけなかったから、目の保養になった。


 だが、店の前には張り紙が。

「開店は一〇時になる」と。

 従業員が出勤困難だからだという。


 プランB。オレは一旦帰宅した。

 親のスマホも電池がヤバかったので、預かる。

 駅の反対方向にある公民館へ。

 ここなら、勉強の名目で電源を借りられる。

 有料だったが、なんとか無事に充電完了。親のスマホも充電した。


 だが、明日からどうするか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る