第2話
始めは、ただの風邪かと思った。
しかし、風邪にしては連絡が遅すぎる。病院に行っていると考えても、もうそろそろ電話があってもいいはずだ。
今は四時間目が終わり、昼休み。
「帰る前に吉沢の家に寄って帰るか。」
俺はそんなことを考えながら、食べ終わったコンビニ弁当を片付け、次の授業の準備をするのだった。
──────────────────────────────
「じゃあ、これで授業は終わり。みんな気をつけて帰るように。」
やっと六時間目が終わり、職員室に戻って急いで帰る準備をしていると、学年主任の教師から、
「天満先生、そろそろ成績表に記入をお願いします。」
と言われ、大量の成績表を渡される。俺はどうしようか迷いながら
渡された大量の成績表を見ていると、後ろから話しかけられ、その方向を見ると、須川が立っていた。
「その作業は俺がやっといてやるよ。急いでるんだろ?吉沢の家にでも行くのか?」
「ああ。吉沢の家に行ってくる。無断欠席したからな。しかしいいのか?お前も同じぐらいやることはあるだろ?」
「いいんだよ。昔から要領はいいからな。」
「そうか……。なら頼む。」
俺は須川に仕事を頼むと、荷物を持って学校を後にする。
──────────────────────────────
「留守か……。どうしようかな。」
吉沢の家に着くと、吉沢の家は留守だった。
このまま待っておいても良いが、いつ帰ってくるかも分からないのに、いつまでも待ち続けるのは無理だろう。
仮に待てるとしても、他人の家の前でずっと待っている人がいれば、通報される可能性も低くない。
そんなことを考えていると、
学校の方向から、黒い服を着た人が複数人こちらに歩いてきているのが分かった。そのうちの一人を俺は知っていた。
その人の名前は、吉沢明美さん。吉沢美玲の母親だ。
吉沢家に父親はいない。ずいぶん前に病気で亡くなった。
だから、明美さんの近くに美玲もいるはず……なのだが、どれだけ探しても美玲は見つからない。
いつの間にか近くまで来ていた明美さんに話し掛けられる。
「あら、天満君。どうしたの?」
「こんばんは。美玲さんが学校を欠席していたので、心配になって、家に寄らせていただきました。」
「わざわざありがとうね。美玲は、あの子は……………………自殺したのよ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます