死の場所

風来猫 七昼

第1話

 体から流れていく血、失われていく感覚、薄れていく意識。

 俺は死ぬんだ、と完全に理解した気がする。


 そもそもなんでこんなくそったれな状況になっているのか、自分でもいまいち理解できない。

 唯一わかるものといえば、得体の知れない館にいるというこだけ。


 なんでこんなに痛いんだろう、誰にやられたんだっけ?

 そうだ、人間のシルエットをしたよく分からない生物に斬られたんだ。

 分からない、こんな所に連れてきて一体連れてきた奴は何をさせたいんだ。

 ここから脱出させたかったのか?まぁ、もう何も出来ないが。

 指先もピクリとも動かすことができない。


 ああ、これが走馬灯という物なのだろうか、幼い日の思い出やここに来る前の事、全てが鮮明に思いせる。

 そうか、俺は死ぬんだ...


 .....................


 .................


 ............


「...はっ、なんなんだ今のは」


 夢、だといいのだがそうとも行かないだろう、何故なら....




「さっきの館の部屋...?」


 紛うことなき、装飾、家具の配置、配色何から何まで全て同じである。


「なんなんだ一体...」


(なんだったんだ先程の現象は....

 さっきの現象が現実だとしたら...?

 先程は心臓をすん分違わず抉られたはず、つまり...)


 着ているシャツを脱ぎ、胸を確認する。


「なんだこれは....!」


 文字通りの絶句、である


 何故なら彼の胸には【1】と、赤文字で刻印されていたからだ。


(なんだこれは、昨日の夜までは何もなかったはず...

 だとするならこれは俺の死んだ数...なのか?)


 彼は立ち上がり、ドアノブに手をかける。


(いや待て、ここからがと同じなら俺はすぐそこを偶然通りかかった人型のシルエットに速攻で殺される筈だ...

 まずは部屋を調べるのが先決かもしれない)


 まず彼が手に取ったのは机、の上にあるノート、表紙に柄はなく、とても無骨な物だ。


(中身は...何も書かれて無いのか)


 彼は机にノートを置き、机の引き出しを開けた。


(ワルサーP99...

 何故引き出しに...)


 引き出しを閉め、周りを見渡す、


(さほど広くない部屋だ、ベットもあるし寝室か、まぁ次はクローゼットだ。)


 彼はクローゼットに手を伸ばした。


 ガンッ!!!


 唐突な爆音に彼は腰を抜かしかけるも、足音を立てないようにドアの前に慎重に移動する。

 彼は物見から向こうを覗く。


(人型のシルエット!?

 クソっ!ここにいたら強制的に引き合わされるのかよ!)


 状況は最悪である。

 彼は何か手がかりを探すため人型のシルエットを観察し続けている。


(こいつ...もう3分も動いてないな...俺がここを開けなければこいつも俺を殺さない?)


 安心しきった彼はドアに背を預け座る。


(ああくそ、眠いな畜生。

 まぁいいか、眠ろう、あとの事は起きてから考えればいい)

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