二人三脚

勝利だギューちゃん

第1話

僕は、ひとりだった・・・


「やあ、元気?」

「元気と思う?」

「その感じじゃ、辛そうだね」

「ああ」


怖かった・・・

いつだって下を向いていた・・・


上はもちろん、前だった向けない・・・

いつだった、そうやっていきてきた・・・


「うーん」

「何?」

「それは、君だけじゃないと思うよ」

「どういうこと」

「いい、私もなんだけど、人はみんな悩む事はあるの」

「・・・そう・・・」

「そんな時はね、+思考に考えるの?」

「+思考?」

彼女の言ってることは、僕には難しい・・・


「今度は、失敗しないでおこうとか、少しは成長できたとか・・・」

「でも、僕には無理だよ」

「どうして?」

「いつだって、1人で、いつだって、ぼっちで・・・だから・・・」

「だから何?」

「僕には、そんな強さはない」

彼女は、何かを考えていた・・・


「さっき、僕はひとりだって言ったよね」

「・・・うん・・・」

「じゃあ、ふたりならいいのね・・・」

「えっ?」

「じゃあ、君にプレゼント」

そうやってタオルを取りだした。


「ねえ、片足を出してくれる。出来れば利き足・・・」

僕は、右足を差し出した。

「どうする気?」

「いいから見てて」

彼女は、僕の右足と自分の左足をタオルで結んだ。


「これで、ふたりになったね」

「えっ」

「二人三脚」

「それは、わかるけど・・・」

彼女は間を置いて答えた。


「これで私と君は、一心同体。

楽しいことも。辛いことも、いつも2人・・・

もう、君をひとりだなんて、言わせない・・・」


僕はもう、ひとりではなくなった・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

二人三脚 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る