39.大量のピアスで魔力封じ(2)
「次はこっち」
次々と付けていく様子に、ちょっと疑問がわいた。前にコツがあるとか、シフェルが言ってなかったっけ? つまり、リアムは慣れるほど付けてるの? 誰に!
「あの……」
「どうした?」
きょとんと首を傾げるリアムの黒髪が揺れるのを鏡越しに見ながら、自然と尖ってしまう唇で問いかける。
「リアム、慣れてない?」
「そうか?」
「……そんなに庇護者いるの?」
あ、これダメなやつだ。質問した直後にそう思った。ただの嫉妬じゃん。醜いなあ。狭量さにちょっと自分でも引きながら、ひとつ深呼吸して言葉を取り消そうとしたとき、リアムがくすくす笑いながら後ろから抱き着いてきた。
首に抱きつく形でリアムの頬が頭に触れる。
「庇護者はお前だけだぞ。妬いているのか?」
笑い続けるリアムの黒髪が首を擽るし、声は可愛いし、体温はうれしいし。いろいろ反応しそうなオレを、氷のような冷たい眼差しのシフェルが睨んでいた。
「キヨがここまでタラシだとは知りませんでした。いえ、考えれば兆候はあったんでしょうね。やたら人を連れて帰ってきましたから、素質はあるのでしょうが」
「ぶつぶつディスらないで。怖いから」
小姑のノリでオレを苛めるのは止めて欲しい。
「お時間がありませんので、その辺で。キヨの出発の時間になりますよ」
言われて慌てて時計を確認し、リアムは残りのピアスを手に取る。オレは先ほどと同じように髪を掴んで耳が見えるようにした。耳たぶや首筋が赤いのは許してくれ。まだ照れてるんだから。
前世界で女の子と付き合う機会なんてなかったし、こんなふうに美人に触れられたり抱きつかれるチャンスもなかった。嬉しいような、むず痒いような感覚で増えるピアスを確認する。
「終わったぞ」
「ありがと。意外と痛くなかった」
シフェルがつけたときより、痛みは感じなかった。あの肉を焼くじゅっとした感じもなかったし。ほっとしながら立ち上がろうとしたら、今度は首に細いチェーンがついたネックレスをかけられる。
「これは?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます