23.***結界***
人は
感情すべてが人であり、人であるからこそ闇に染まり『
闇の神族と人の巫女の間に生まれた真桜は、大半が闇に
都にある貴族の屋敷すべての部屋に結界を張るのは、ひどく効率が悪い。大きな結界をひとつ張れば、都全てを覆うことが可能だった。問題となるのは、結界を支える霊力の不足だが……。
「補えばよい」
どこから、何を。すべての単語を省いたアカリは、美しい
「確かに、補うのが早い」
都で評判の美しい姫君が着飾っても、到底足元にも及ばぬ美貌で目を伏せて待つアカリを抱き寄せ、ぴたりと寄り添った。体温を感じない神族の姿から、
≪ひ、ふ、み、よ、いつ、む、なな、や≫
黒髪に二つ、額、左右の瞼、鼻の上、両方の頬へ接吻けを施す。数える声は
≪ここのたり≫
唇に触れて、すぐに離れてもう一度重ねる。
≪我が息は
アカリの赤い唇が言霊を吐き出した。後を追いかける真桜の声が、輪唱のように響く。
≪我が意図は糸となり、この手が及ぶ先は
互いが
≪
夜空に月が戻る。清浄なる光が降り注ぐ地上に、巨大な魔方陣が広がった。
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