Hanging

僕は転生譚が嫌いだった。

前世に努力を任せるといったスタンスより、自分の生きる現世うつしよに対して何の努力もせずに諦めたことに対して。

今は違う。

地獄だった。

ただ、そんな物語の作者がを見たのかは分からない。

When you gaze into the abyss、the abyss gazes into you.

地獄が見返してきたとき、思った。

「逃げよう」

理性は逃避など無駄だとわかっていたが、本能が叫んだ。

「逃げろ」と。

ただその先で理解してしまった。

“この世界に、救いなど無い。”

気づいた、気づいてしまった。

笑うしかなかった。

人の生きる理由など無い。

神を呪い、世界を憎み、人を嫌った。

そして全てを捨て、全てを撥ね付け、全てを壊そうとした。

しかし、壊しきることのできなかった彼は今、捨て切れなかったモノを捨てさせられようとしている。

僕は、地獄に、殺された。

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