純の華、空虚の天

misâke=jui=Hiyori

第1話 華華どこにある

 「__綺麗なものはいいね。美しいものはいいね。輝きだけをみてたいわ。」


 毎日見てる家、毎日見てる道、毎日見てる空、毎日見てる木々や花々。ある人は、そんな何気ない日常の中に美しさはあるって教えてくれたわ!


 絢爛たるシャンデリア、煌びやかな宝石、曇ることのない貴金属の輝き。またある人は、そんな偽りのない光こそが美しさだって教えてくれたわ!


 かみさまの愛、みんなのいのち、平和なせかい。またまたある人は、本当の美しさというのは目に見えないんだよって教えてくれたわ!


 そこでわたしは思ったの。「じゃぁ、きたないものってなぁに?」ってね。そしたらみんな口ゲンカを始めてしまったわ。ある人は「目に見えないものなんて綺麗ごとなんだ」って、またある人は「外にあるものなんて野蛮だ」って、またある人は「お金で手に入るものは偽物だ」ってね。


 「__じゃぁ、じゃぁさ。ほんとにきれいな物なんてないんじゃないの?」


 そんな想いが、そんな考えが、芽生えてしまった。ほんとにきれいな物なんてないなら、みんなみんな、何もかも汚いってことだよね?なら、わたしが愛するから、慈しむから。みんな一緒に美しくなってみせるわ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る