第1章

( 1 ) チェス

「チェックメイト!」

と言いたいがためだった。最初は。


もっと最初は、盤と駒のデザインが見たかった。目の前で。


囲碁や将棋も、そりゃ優れたつくりだと思う。

でもチェスのそれは、断トツだった。


トランプのカードも好きだけど、チェスは何せ立体感がハンパない。


とにかくほしい!


と思ってしまったのだ。


さて実際に買うか、となったとする。


盤と駒のデザインはけっこういろいろあることに驚く。

値段もピンからキリだし、


うーん、私のあの時のファーストコンタクトはいかに?

と昔の記憶をたどって、


とにかくほしい!


と思ってしまったデザインになるべく近いものを探そうとするのだけど、

どうやらないような気がして来て、


今回は、あきらめるか。


というのを、何回くりかえしただろうか?


店、ネット、本などが、そのくりかえした場所なのだが、

私が最終的に見つけたのは、


私の頭の中だった。


もっと言えば、記憶の中。


つまり、こだわりを捨てなければ、手にすることは出来ないことが、わかった。


今見て、気に入ったものを選ぼう。



これが、私がこのチェスを選んだいきさつである。


いつ見ても素敵なので、ながめているだけで何分かは過ぎるのが常なのだけど、

やっぱり奥深さにチャレンジしてみたくなり、


というより、私は、


「チェックメイト!」

って言いたいんじゃなかったっけ?


マスターしなきゃ、チェス。



。。。。。。。。



「このポーンが、むしゃ、む、こう動いてーー、もぐ、ぐ、こーか、、む、やっぱりこの煮もの、うみゃし、、、、で、次はビショップ、と、、こう動くーー、ーーーーー、っと!」


ビショップに手をかけて、とまる。


( ビショップって、何の形?)

( この煮もの丼、うますぎるー!!)


と、ほぼ同時に思った時、1人の時間のなんとも居心地の良い流れの中にいることを感じた。



。。。。。。。。



パシャ、


「いいですのー、、こちらからも、、」


パシャ、


パシャ、、


「あ、駒の説明!説明だったーー!」


ビショップの、寄りの写真を撮るのに、ついつい夢中になりつつも、本来のやりたいこと、


( ビショップという駒の意味、動きなどを学ぶこと )


を、思い出した。


だったら、この撮った写真をプリントアウトして、ノートに貼って、横に意味やら動きやらを、わかりやすく書いてゆくってのは、どうだろう?


一見して、わかりやすくなるかな? ルール本より、


「自分で気に入って手に入れた駒」


の写真だし、何より書くことで覚えるかな??



そこで、ふと我にかえる。


「あ、これ、ノートにまとめて、満足しちゃうやつだ。」


残りの丼を食し、少し落ち着く。


実際に、対戦しているていで、やってみるしかないよね!





1人で駒を動かしていて、良いモードは集中してゆく。


いつかは、思い通りに、時には、思い通りには動かせずに、頭の中で、試行錯誤したいものだ。


いいなあ、と思うのだ。ルールを知っていて、楽しめるというのは。空間の切り取りである。2人なら2人の、そのゲームををしている人たちの、空間の話なのである。ゲームとは、おうおうにして、空間の切り取りだと思う。チェスのゲームの、空間中かつ夢中になりたい私であった。


いつもの、

「やってもやらなくてもいいことを懸命にやろうとする」、


ムダな、本気のやる気、である。



。。。。。。。。



本日の煮もの丼

◎とうふ

◎ツナ ( 缶、汁も使う )

◎小松菜


調味料

◎めんつゆ

◎みりん


食べるためのちょい足し

◎煮汁 ( ひたかける )




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