魂だけの状態で異世界に来てしまった水砂千晶。そのまま死にそうなところを助けてくれたのは、なんと勇者に倒されて死にかけていた、いかにも悪人顔の男ルインフェルトだった。彼は体を渡す代わりに二つの条件を千晶に言い渡す。一つは「悪名をあげること」、そしてもう一つは「悪名をあげきった後に死ぬこと」だった。
あまりに無茶な条件だが、現在進行形で死にかけている千晶はその条件に逆らえず契約。結果、彼は極悪非道の大悪党ルインフェルトとして異世界で第二の生を送ることに……。
本作の特徴は何と言っても、とにかくテンションが高いルインフェルト(千晶)の語りであろう。魂の状態であろうが、大悪党になろうが、食べ物が無くて餓えようが、決してペースを崩さず、下ネタ混じりな痛烈なモノローグを延々語り続ける。さらに周りからは超危険人物と思われているが、中身はただの気さくな変態なので、そこから生じるギャップが非常に楽しい。
だいぶ性格に癖のある主人公なので、人によって好き嫌いは分かれると思うが、とりあえず第1話を読んで、有りだと思ったら是非続きを読んで欲しい。
(「ああ……勘違い!」4選/文=柿崎 憲)