ショートショート
無口くん(むっくん)
三国中学校
ダンダンダン
部屋の扉を叩く音がする。
母「呂布!起きなさい!転校初日から遅刻しちゃみんなから笑われちゃうわよ」
僕「うるさいな、わかってるよ!」
僕の名前は呂布。
反抗期真っ最中の中学二年生。
もともと南蛮中学校ってとこにいたんだけどいじめられちゃって転校することになったんだ。
今日は大事な転校初日。
不安と期待が交差するなんだか気持ち悪い感じだ。
「「三国中学校」」
母「ほら、ちゃんと
僕「持ったよ」
母「じゃあ兜もかぶっていってらっしゃい。今日は午後から火矢が降ってくる予報だからね」
僕「この兜かぶっていったらまたゴキブリって言われていじめられちゃうよ」
母「しょうがないじゃない!うちは貧しいんだからこれしかないの」
僕「ちぇ、わかったよ。じゃ、いってくる」
母「行ってらっしゃい。頑張って友達作るのよ」
僕は母の声を後ろに聴きながら玄関のドアを開けた。
僕(あーあ、前の中学校ではみんな昼休みに腐った泥を浴びたりしてて正直ドン引きだったけど僕もみんなに馴染まなきゃって思って泥浴びしたらその様子がひっくり返ったゴキブリみたいっていわれていじめられたんだよな・・・)
僕「あ、ここか」
僕は過去のことを思い出しながらゆっくり歩いていたつもりだったがふと気が付くともう目の前には目的の建造物、三国中学校の文字があった。
僕(転校ってやっぱり緊張するなあ)
と不安な思いに駆られていると後ろから声をかけられた。
???「君は見ない顔だね?ひょっとして転校生の子かな?」
振り返ると小太りのおじさんがいた。
僕「あ、えっとそうですけど、あなたは?」
???「私は君のクラスの担任、
僕「あ、はい」
僕は一人で校舎に入っていって見慣れない顔だと怪訝に視線を向けられるのが嫌だったので先生に会えてよかったと思った。
董卓「知らない子ばかりで緊張するかもしれないがみんな私のかわいい酒池肉林だから仲良くやってくれ」
僕「??しゅち??なんですかそれ?」
董卓「ん?ああすまないこっちの話だ。と話している間にもうクラスの前だ。この部屋の中に君の肉林メイトがいる」
僕「にくりんめいと?」
董卓「ああすまん。酒池肉林が頭から離れなくてね。じゃあドアを開けるぞ」
ガラガラ
部屋の中にはいろいろな声が飛び交っていた。
???「おい、昨日のyou TV見たか?万里の長城の端から端まで許すまじ!って動画!」
???「うぇぇぇぇん、兄者~我輩の
???「馬超君!馬に乗ったまま教室の中に入ってこないでよ!あなたの後ろの席に座ってるあたしはずっと目の前に馬の肛門があるのよ!あっなんか出てきた!ちょっ、くさっ!なにこれ!くさっ!」
董卓「おーいみんな静かに。席についてくれ。今日は前から言っていたが転校生が来ている。南蛮中学校から来た呂布君だ。仲良くしてやってくれ」
先生は僕に目配せをした。
僕は頷いて部屋の中のみんなに視線を向けて自己紹介した。
僕「あ、今日からみんなと同じクラスになる呂布です。よろしくお願いします」
董卓「よし、みんな拍手。じゃあ空いているあの魏延君の隣の席に座ってくれ」
先生は一つだけ空いていた席を指差し僕をその席へ行くように指示した。
一つだけ空いたその席に着くまでみんなの視線が集中して痛かったがなんとか席に着いた。
僕(たしか隣の子は魏延君だったかな?最初の一声が大事だ。勇気を出して話しかけてみよう)
僕「あの、僕呂布。隣同士仲良くしようね」
僕はなけなしの勇気を振り絞って隣の子に声をかけた。
僕(あれ、聞こえなかったのかな?こっちを見てくれない・・・ん?何かしゃべっているぞ)
魏延「ブツブツブツ・・・」
僕(よく聞こえない。耳を近づけてみよう)
魏延「・・ロス、コロス、トナリノセキスワルヤツ、ゼッタイニコロス・・・」
僕「うわああああ」
僕は驚いてのけぞってしまった。
その際に逆側の隣の席の女の子の机を倒してしまった。
僕「あ、ごめんすぐ元に・・・」
僕はそう言って机を立て直そうとした。
するとその女の子から耳を疑うような言葉が聞こえてきた。
貂蝉「きったねぇ手で私の机に触ってんじゃないわよ!!このゴキブリ野郎が!!」
ゴキブリと罵られたことは何度かあった。
しかしどうして、僕はこの子に罵られて気持ちいいと感じてしまった。
きっとこれが恋なのだろう。うん。そうに違いない。
あっ、ちょっ蹴らないで。痛い。でもなんか嫌じゃない。あっ僕の方天画戟返してよ。えっズボン脱げって?・・・これでいいの?四つん這いになれって?・・うん。ちょ、方天画戟の柄の部分を僕の肛門に入れないでよ。アッー!!
僕はこの桃源郷で生きていくことを決心した。
―完―
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