頭の虫

椋木 イツキ

月曜日

おしりの毛はスリルと疑心暗鬼を与えてくれる。

切るか切られるか、血を流すのはどちらか、指先に全神経を集中させて、剃刀のざらついた乱暴な刃をおしりに感じる。


自分からは見えないおしりが人からは見られていると思うと、途方に暮れてしまうような、諦めに似た気持ちになるし、初めておしりの毛を剃って過ごした今日という日は、私にとって特別な1日となった。


私はどれだけ自分のことを理解できているのだろう。肛門の形に正解はあるのだろうか?毛を剃るときに指でなぞってみたけど、皺の寄せ集めにしか感じられなかった。


肛門の皺と同じで、いつも正しい位置にいることができている自信が、私にはない。体のパーツもきちんとしているのか疑わしい。


誰の目を生きていく上での指標にすればよいのか、私のことをすべて把握して、理解して、評価して、まっすぐに矯正してくれる指標は誰の目なのだろう。


私のことを「ナギちゃん」と呼ぶ人とはもう、きっと、多分、出会わない。

誰の目も気にせず、自分の肛門を信じて生きていけたら、どんなに救われるだろう。

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