嵐のあとに

カゲトモ

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 勢いよく開いた扉にベルの音と一緒に雨粒と長身の男性が飛び込んできた。先ほどまで静かだった店内が急に賑やかになる。

「わ、大丈夫ですかっ」

「だ、だだだいじょうぶですっ」

 髪をぐっしょり濡らしてしまった男性に声を掛けてから、急いでバックにタオルを取りに行く。なんでまたこんな日に来たって言うのだ。

「マリオ君、これっ」

 そこまで言って来店したのが一人じゃないという事に気付いた。一緒に来てたの!?

「ちょっと待っていて下さいねっ」

 急いで戻ってもう片手にタオルを掴んだ。それらを半ば放り投げるようにして二人に渡して冷房の温度を上げる。

 こんな所で風邪を引かれたら大変だ。

「マリオ君もルカさんも、大丈夫ですか? 寒くないですか?」

「大丈夫です。すみません、ありがとうございます」

 そう言って二人は濡れた髪と身体を拭きながら頭を下げた。

 一先ずはこの雨風で身体が冷えてしまっているだろうし、何か温かいものでも。

「でもどうしたんです、こんな天気の悪い日に」

 今日は前から天気予報で凄い嵐になると言っていたでしょうに。それなのに。

「そんなに濡れてしまって」

「いやいやそれはこっちのセリフでしょう、マスター。こんな日でもお店を開けているだなんて」

 とルカさんは笑った。マリオ君も。ごもっともなセリフだ。

 俺は、一応一番きつい時間は終わったし、とりあえず開けておこうかなって思って。

「だと思いました。マスターならお店を開けているだろうなって思って。お仕事熱心ですもんね」

 マリオ君程ではないけどね。仕事熱心と言うよりはこれしかすることがないのよ。

「ふふ、でもそのおかげでこうやってマリオ君とマスターと会えているし、さすがですね、マスター」

 これは褒められている、のか?

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