第4話戦場ヶ原

 中禅寺湖に沿って一本道が続く。他へ行きようがないので、戻ったのでなければ戦場ヶ原方面へ向かったはずだった。途中ボートハウスに寄ってみたが、人がほとんどいなくて、収穫がなかった。コーヒーハウスにも寄ってみたが、ここには伊藤夕陽少年は現れなかったようだ。

 道なりに進むと、中禅寺湖のほとりから戦場ヶ原の方へ進む。少し行くと駐車場が現れた。飲食店や土産物屋もたくさんある。ここから戦場ヶ原の展望台が近いようだ。

 律子と良平は車を停め、いくつかある飲食店で聞き込みをした。すると、一つの店で情報が得られた。

「ああ、この子来ましたよ。芸能人かと思っちゃった。あまりに可愛い顔だったし、あか抜けてて。」

飲食店で働く女の子が覚えていた。

「彼は一人でしたか?それとも誰かと一緒でしたか?」

律子が聞くと、女の子は窓際の席の方を見ながら考えていた。

「男の人と二人でしたよ、多分。あの席に座ってて。」

眺めていた窓際の席を指さしながら教えてくれた。

「男、ですか。どのくらいの年齢か分かりますか?この少年と同じくらい?」

「うーん、相手の人は向こう向いてたんではっきりとは。でも若い感じでしたね。おじさんじゃなくてお兄さんでした。」

「そうですか。彼らがここを出たのは何時くらいでしたか?」

「うーん、1時過ぎくらいだったかな。」

「ありがとうございました。」

律子と良平は頭を下げ、その店を後にした。

「佐藤さん、彼らはこの戦場ヶ原の中にいるんでしょうか?それともこの先へ行ったんでしょうか?」

二人は考え込んだ。しかし、戦場ヶ原の中へ入ったのだとしたら、その中で見つけるのは困難だ。それならこの駐車場で待っていた方が良い。しかし、もっと先へ行ったのであれば、早く追いかけた方が良い。

「先へ行ってみましょう。もし手掛かりがなかったらここへ戻ってきましょう。」

二人は車へ乗り込み、先へ進んだ。

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