まおうさまのおしごと

杜鵑草

魔王様っていいですよね

 どうも初めまして。突然ですが、私、魔王やってます。



 えっと、何か、すっごい大きい岩を壊してあげたら、魔王にされたんです。


 街の人達、あの岩のせいで水が出なくて困ってるって言ってたから、これって助けたお礼ですよね!私、いいことしましたね!



 何はともあれ、魔王になった私ですが…お仕事、凄く難しいんです。



 よく分からないんですけど、勇者様が攻めてきてるからどうやってそれを止めるかとか、どこの街から潰すかとか。



 街って、潰していいんですかね?潰したらそこの人、困っちゃいそうですよねー。



 あ、困っちゃったら私が助ければいいんですね!私、またいいことできます!



 と、そんなことをいってたら、秘書さんができたんです。そう、私の秘書さんです!秘書さん、私のお仕事を代わりにやってくれるそうなんですよ!


 これもきっと、あれですね!お礼です!やったぁ!



 難しいお仕事は秘書さんがやってくれるので、私は部下の人とお話しするんです。部下さん、いっつも『どこから攻めるのか』ってお話してるんで、私は聞き役なんですけどね。難しいのは苦手です。


 秘書さんに言ったら、変な顔されちゃいました。折角の秘書さんの可愛い顔が、台無しだったんです。秘書さんは、もうちょっと可愛い顔をした方がいいと思うんですよね。


 …そう言ったら、叩かれました。痛かったです。




 まぁ、そんなこんなありまして、一週間後くらいには私の一日の動きは決まりました。



 朝起きたら、歯磨きをして顔を洗って、着替えをします。それから、朝ご飯を食べるんです。そしてまた歯磨きをします。



 次に秘書さんとお話しします。何か難しいお仕事のお話なんで、私はいつも聞き流してるんです。


 …あ、これ秘書さんには内緒です。



 お話しが終わったら、今度は部下さんとお話しするんです。また攻める場所のお話だから、私はうんうんと相槌を打つだけです。


 部下さん、それでいつもご機嫌になるんです。相槌の力って凄いですよね。私、お話しする時は毎回相槌を打とうって決めてるんです!



 これでようやく、お昼ご飯です。そして歯磨きです。



 お昼ご飯の後は、会議に出るか、城下町にお出かけします。会議がない日は、お出かけの日です。お出かけ、楽しいので私好きなんです!楽しいのはいいことですよね!



 それらが終わったら晩ご飯です。そして歯磨きです。



 あとは、お風呂に入って、寝るだけです。お風呂は泡がぶくぶくしてて、変な感じします。でも、私結構ぶくぶく好きかも。ぶくぶく、面白いんです!



 私、最初は魔王様のお仕事って大変だと思いました。でも、今は優しい秘書さんと部下さんがいるので、魔王様になってよかったなって思います!





 あ、いつかは勇者様ともお友達になるんです!これは秘書さんにも部下さんにも秘密なんですよ。だから、皆さんも秘密ですからね!





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る