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「あの、それ、もし使わない様なら・・・」
「え、えぇいいですよ。良かったら貰って下さい」
やっぱり年甲斐もないかなって思えてきたし。
「そんな頂くことなんて。これと交換と言う形ではいけませんか」
「え、いいんですか?」
手渡されたものを見てつい顔がゆるんでしまった。だってこれ、え、本当に良いの?
「私じゃ手に余ると言うか、仕事や家のことで行けないので。使わないのはもったいないし」
「え、本当に良いんですか?」
「それはこっちのセリフです。スカイさんこそ、いいんですか?」
「も、もちろんです!」
そうして脇腹に抱えていた箱と紙の束を交換した。
「わらしべ長者って、実話だったんだな・・・」
俺の手には映画館の名前の書かれた紙の束、それから両手に下げられた買い物袋一杯の缶詰や乾物。
もとはハワイへの旅行券だったってのに。
「まさかあのスケボーみたいなやつが映画無料券になるとは」
今になっては死ぬほど恥ずかしかったハワイ旅行券も当てて良かったと思えるほどだ。
あのあと、ハワイ旅行券は両親の結婚記念日へのプレゼントを探していた若者のもとへ行った。交換で貰ったのは福引の二等である高級羽毛布団引換券だった。正直ペアの旅行券より羽毛布団の方が良かったから。
それから高級羽毛布団引換券は乾物屋の大女将のもとへ行った。そして交換されたのが大量の乾物と新品のおもちゃだ。スケボーみたいに乗って遊べるらしいが、孫が全く乗らないらしくて、新品だからと持たされた。まぁ缶詰も乾物も日持ちがするし、昔スケボーにも乗ってたし、年甲斐もなく遊んでもいいかな、なんて思って交換した。そうしたら最終的にこうして映画無料券になった。
「こんなことって本当にあるんだ」
人生悪いことばっかじゃないって? は、本当にっ!
「今度の休みは一日中映画館だな」
早速タイムテーブルをチェックしないと!
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