第9話 「縄張り」

前回のあらすじ




無事に老兵含む、「王国騎士団」を倒したと思っていたのだが、


アウラが王国騎士団の暗殺団に腹を剣で刺されてしまっていた。


僕はすぐに、アウラの死を認めることが出来なかった。


少し後に魔法に蘇生があることを思い出す。


今のままではSPが足りないので、始まりのダンジョン近くの草原にある、薬草を取りに行く事を決心したのだった。


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テレポートしたすぐに、異変に気づいた。 




冒険者の時とこの場所、雰囲気が違う。




何か、後ろの方から視線を感じる。




「誰だ!」




風に吹かれ草が揺れている。




がさがさ。がざがさ。




その直後、シルエットがみえる。


冒険者ではない、てことはモンスターか…




この草原には基本、スライムなどと言った弱いモンスターが集まっているはずだが…




あのシルエットはスライムより段違いにでかい。




「草むらに隠れてないで出てこい!」




日も落ちて来ており、早く薬草を取って帰りたいのだが、


このまま薬草を取っても後ろを狙われてダメージを食らうだろう。




「貴様は我が縄張りで、何をしている?」




縄張り?そうか、僕がこの町から去った後にこのモンスターがこの場所を自分の縄張りにしたのだ。




「僕はただ、薬草を取りに来ただけだ。薬草が取れたらすぐにここを出ていく。だからここは身を引いてくれないか?」




「何をバカなことを?お前みたいな獲物を見逃して身を引くわけが無いだろう?」




だんだんそのシルエットはこちらへ近づいてくる。




「お、お前は!」




第三のダンジョン、「バベル」の元BOSS。




僕達にBOSSの座を譲ってくれたモンスター。




キマイラだ。




「久しぶりだな、スライム。」




「キマイラ、お願いだ!少しだけこの場にある薬草をくれないか?」




「何か、ダンジョンであったのか?」




僕は今まであったことをキマイラに話す。




「なるほど、アウラが…。」




「分かった…好きなだけ持っていってくれ」




ありがとうと言おうとした瞬間、




「駄目ですねー!縄張り様がそんなスライムと話しててこちらに気づかないなんて」




木上に誰かが立っている。




「何者だ!」




「私の名前ですかー?そうですね!アサシンとでも名乗っておきますかね?」




姿的には、モンスターではない。




それと、声的に女性だろう。




「ちょっとスライムくん?退いていてください…。


私弱者を倒すのは好きじゃないんですよー?」




「おい!スライム。お前は退いてろ!ここは俺の縄張りだ!


侵入者は俺が倒す!」




僕は言われた通り少し離れる。




「では、始めましょうかー?縄張りさん?」




「我と戦おうとする姿勢だけは認めてやる。だが縄張り様を甘く見るなよ!」


こうして月下の夜の戦いは幕を開けた。






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