第77話 ゴシの話18

今の彼らでゲーム内の勝率は7割ほどだという。

適正レートの勝率50%前後に達するのはもう

少し先になりそうだ。


お土産屋を出た8人。そのうちの男性4人は

大きなぬいぐるみと大きな紙袋を抱えている。


「じゃあ帰りますかあ」


帰りはリョーコ・ミルズが運転席に座る。

自動運転にしている限り飲酒後に運転席に座る

のは法律上問題ないが。


ホテルに着いて、サクハリンの二人はいったん

帰るが、夜に女子4人で飲みにいくという。

「男子チームも行くでしょ?」

アミが聞いてくるが、


「いや・・・、われわれ今日はちょっと・・・」


そして翌日、木星ラグランジュポイント第1

エリアへ出発する日だ。ここ以降は第4

エリアまでサクハリンも同行する。


昼頃にホテルでサクハリンと合流して、

空港へ向かうが、女性陣はみな眠そうだ。

3時まで近くの海鮮居酒屋ビッグショウで

飲んでいたとか。


そういえば。


来た来た。テルオだ。でも、彼らとは違う船に

乗り込んだ。別の客船で行くらしい。なんでも、

クリルタイ国でしか受けられない教育を受ける

ために、別船で缶詰めらしい。


木星第1エリアへの旅が始まった。


第1エリアへは10日間の旅だ。その間、

ゴシ・ゴッシーは料理アドバイザーの仕事を

もらった。


客船と空母のシェフの仕事を手伝いながら、

時間の合間にお互い知らないレシピを

教えあう。


客船内でも、最初の航行期間にやっていた

気取った人々ごっこをもう辞めたようだ。

ケイト・レイやトム、ブラウンも船内では

ほとんどジャージを着ている。


リアンはどこかの異国の装束だ。

「あ、これはですね、サムエというやつです。

 ええ、寒いわけじゃなくて、サムエです。

 まあ冬場はちょっと寒いですけど、ええ」


この客船は一応民間船の扱いであるが、

ケイト・レイの特注で、プールやトレーニング

ルームが付いている。


トレーニングルームには当然スパーリング用の

リングがある。


「ひさしぶりに相手してあげようか」

ケイト・レイがリングに上がり、

アラハントのメンバーとスパーリングだ。


ゴシはハントジムの練習には参加したことがない。

ケイト・レイが昔プロのリングに上がっていた

ことはうっすら聞いたことがあるぐらいだ。


「さきにトム少尉でアップさせてもらおうか」

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