第64話 ゴシの話5

デザートも格調高いものが出される。

メキシコ料理のソパピアと呼ばれる揚げパンだ。


「何か壮大な夢をお持ちのようですが」

続けて聞いていみる。


「わたくしはあくまで国民が選んだ代表を

補佐するまでです。まあ強いて言えば

この太陽系の平和でしょうか」


そういうものであろうか。


「本日はご参考ということで、わが国の軍で

一般兵士に出される夕食をお召し上がりいただき

ました。お口に合いましたでしょうか」

リアン次官が会食を閉める。


ロビーの窓際でまた星を眺める。

アラハントの5人が向こうで何か話している。

今はリラックスして他愛のない話をして

いるのが一番良い。


アラハントの5人が小声で話している。

「だからさあ、いい加減誰か注意して

止めさせようぜ」

とエマド・ジャマル。


「うん、あれは完全に自分を敏腕

プロデューサーだと勘違いしてるね」

とフェイク・サンヒョク。


「今日のリアンさんに聞いてたやつ、あれは

やばかったよね、小国とか言うふつう?ウイン、

なんとかならないの?」

とマルーシャ・マノフ。


「だいたいなんで呼んだんだよ、ヘンリクで

良かったんじゃないの?」とまたエマド。


ウインが答える。

「まあ最初トムさんに言われたのは、身の回り

とか、雑用ができるマネージャだったんだよね。

となるとゴシさんでしょ、まあ建前上

プロデューサーってことにしてるけど」


「まあこのまま放っといてどこまでいくか

見たい、ってのもあるんじゃない?」

と適当なことを言っているのはアミ・リーだ。


「ていうかさ、昨日から言ってるあれ、

やってみようよ、もしかしたらそれで治るかも

しんないよ」


「じゃあトムさんに言って夜練でやるか」

そのまま5人は、空母経由で人型機械母艦へ向かう。


アラハントの5人にも、なんというか、

もっとこうドライで緻密な大人の人間関係

というものをいつか教えてやらなければな、

とゴシは思う。


遠くでトム・マーレイ少尉がケイト長官に何か

相談している。声が大きいのですべて聴こえてくる。


「本日夜の訓練は客船側宙域も使用して行いたく、

よろしいでしょうか!」


ケイト長官が何か答えてトム少尉は下がっていく。


久しぶりに葉巻が吸いたい気分だ。

葉巻を吸う仕草をしながら、窓の外に

太陽系全体をイメージする。

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