第25話 アミの話

彼らが巨大な人型機械を操って戦うことになった

いきさつからまず書いていかなければならない。


5人でまず音楽活動を始めたきっかけが、ウイン・チカ

が弦楽器奏者を募集しようと提案したからだ。

アミがそれに申し込んだのは、年齢が同じだった、

ということもあるが、その募集メッセージに

込められたキーワードに反応したからだ。


彼らは音楽以外も趣味が合った。


はじめは、端末からネットワークにつないで5対5の

対人戦を行う古典的なゲームをやっていた。

一番うまかったのは、親の影響で小さいころから

プレイしていたフェイク・サンヒョクだ。


彼らはゲーム中の意思疎通もうまく、ランキング

でもかなりの上位に食い込む腕前を見せた。

もちろん音楽活動の合間の少ないプレイ時間で。


そして、

同じゲーム会社から3年前にシリーズものとして

リリースされたのがスペースカーマ・リアリティだ。


これは、自宅から端末でネットワークに繋いで

遊ぶものではなく、エンターテイメントセンターの

一画にそれなりのスペースを占有している

5人分の座席が付いた空間で行う。


一人ひとりは壁で区切られていて、巨大人型機械

の操縦席、という設定だった。こんなものが

都市下層のセンターにリリース当初から置いて

あるのは、裏で軍が関与している、ともっぱらの

噂だった。


これを5人でよく遊んだ。


6人姉妹で家が経済的に苦しいウイン・チカの

プレイ代を出してくれたのはメインの弦楽器を

演奏して歌も歌うマルーシャ・マフノだ。

これに管楽器を使うエマド・ジャマルの計5名。


ゲームのルールはこうだ。


5人はそれぞれ巨大人型機械に搭乗する。しかし、

最初から搭乗機で戦うのではなく、搭乗機と

類似の機能、性能を持った遠隔機を搭乗機の

操縦席から操って、相手国の機械と戦う。


戦場空間には宇宙母艦で向かうが、搭乗機は

それぞれ一機の計5機、遠隔機は搭乗機あたり

3機の計15機。


これにサポートを行うミニオン機100機が、

開始時と4分ごとに20機づつ出撃する。


遠隔機がすべて破壊され、敵が宇宙母艦に接近

したときのみ搭乗機で迎撃する。時間制限も

あり、20分で決着がつかない場合はポイント

制で勝負が決まる。


相手の搭乗機を破壊せずに捕獲するとポイント

も高い。


センターにある操縦席はかなりリアルに作り

込まれており、搭乗機を操縦しているときは

回避行動や衝撃に合わせて席も振動する。


人型機械は、それぞれに役割分担があり、

火力があってチームの主力となるもの、防御

主体のもの、シールドを多用して味方を守ったり

バッテリーを渡してシールドを回復させるもの、

ステルスして突然襲うものなど様々な機種がある。

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