第11話(風林火山!3の4・前編)
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その夏休み、
じいちゃんは出勤を遅らせてまでして出迎え、ばあちゃんはミックスゼリーやらぽたぽた焼きやらを大量に、施設での生活はどうだ、みんなと仲良くやれてるかと質問攻め。
心配され、大切に思われていることに、出そうになる涙を抑えつつ、暑いから水風呂浴びてくると脱衣所へ向かった。
そして、ほぼ全裸の風鈴と出くわした。
前かがみにおっぱいは丸出し、履きかけか脱ぎかけか下は半おろしのパンツ一丁。
固まる風鈴を前に
「ふむ」としばし眺め。
両手で弧を描いて風鈴のスタイルを表現してみる。
「バカヤロォォーー!」
屋内にて、どんがらがっしゃんと吹き飛ばされる
*
やはりあそこでは、ぱん・つー・まる・みえ、にすべきだったか。それとも両親指を立てて、ぐー!とでもすべきだったか。
そういえばあの頃すでに、ぱふぱふできるくらいの大きさがあったなあ。
そんなたわいもないことを、まどろみの中で思っていると。
「そうじゃ、お
玉藻前が、薄衣の上から豊かな胸に
でかい。やわらかい。温かい。ほんのり良い香りがする。
そして頭がはっきりしてきて気づいた。これは風鈴ではない。
タマモが大人の姿になったあと、しばらく意識が混濁していたようだ。
ここはどうやら、昨夜見たタマモの寝所のようだ。天幕が張られ、畳の上に大きめの布団が敷かれている。
二人は横になり、彼女の胸に顔を埋めさせている格好だ。
顔をおっぱいに埋めさせたまま、なぜ周囲の情景がわかるのか? それはもちろん彼は光の精霊人だからである。
「君は何をしておるのかね?」
冷めた声で、
「む。ぱふぱふの術は殿方をめろめろにするはずじゃぞ。お
「そりゃあなあ」
おっぱいから開放され、ようやく一息。怪訝そうな玉藻前をようやく拝顔できた。
確か先ほど大人化したときは、十二単衣の大人の女性だったはずだ。
現在は頭部に狐耳があり、顔面には絵の具を塗りたくったような模様が描かれている。
子供のタマモがそのまま大人になったような感じだ。
服装は十二単衣ではなく、寝間着や室内着とも少し違うベージュ色の薄布を一枚羽織っただけで、下は裸なのかうっすら透けて見えるようでもある。かなり艶めかしい格好である。
玉藻前は愛らしい顔を不満げに頬を膨らませ、
「なら、これならどうじゃ!」
股間に指をあてがい、押し広げ。
「これがくぱあの術じゃ」
くぱあとかいう擬音が浮かんだのは、
なお、薄衣の上からなので全部は見えませんよ、念の為。
「やめなさい、はしたない」
「きゃん!」
おでこにチョップを入れると、玉藻前は可愛い声で鳴いた。
てゆうか、なんなのこの状況。
見た目は大人、頭脳は子供。どこぞの名探偵の逆パターンではないか。
なにやら性的な意味で挑発してきているようだが、その言動からしても、
「まあそこへ座りなさい」
「はい」
まあすでに座ってはいるのだが、足元を指さして促すと、彼女は素直に従って正座した。
お説教モードというか、事後の反省会のようでもある。
「そんなみだらな用語をどこで覚えたのかね?」
「わらわは思い出したのじゃ」
「なにをだね?」
彼女も光の神通力が使えるのか、それとも
「わらわは昔、どっかん屋と戦ったのじゃ。オニコ・アグニ・弁財天・ドワ子じゃったかの」
まず現れたのは、赤い和装に薙刀の女性、いや少女か。高校時代の篠原未来。この頃のコードネームはオニコだったか。
次は、炎をまとい、露出度高めの金色の衣装。オニコとは違うデザインの鬼の面を前と横で2枚かぶっている。これがアグニで、現在はアメリカに在住する、サラマンダーだろう。
3人目は、先ほど学校でちらりと見た(本体は上江だったが)、青いドレスに赤いヘアバンド。サラスワティこと弁財天。現在はウンディーネと呼ばれている。
最後に見えたのは、まったく見覚えのない少女だった。小柄でゴスロリ衣装で金髪ドリルといういかにもな格好で、それにはまったくアンバランスに巨大な戦斧を背負っている。
これがドワ子、おそらくはガイアだろうが、この頃の臨戦霊装は完全に別人のようで、こうなると変身前の素の姿の予想がつかない。
「へえ、これが先代のどっかん屋か」
「苦汁を飲まされたわらわは、きゃつらの弱みを探るべく、頭領の男の住処へ行ったのじゃ」
続いて見えるは、狩衣に狐の面の中年男子。現・幕僚長で、先代どっかん屋の高校時代の担任教師、紫藤清夢か。仮面をつけていることもあって、見た目は今と変わらない。
さらに、清夢の部屋らしきフローリングの洋間が現れる。カラーボックスを組み合わせた、壁一面の本棚が壮観である。
そこから本が一冊ふわふわと飛んできて、開いたと思ったらモザイクが掛かった。
「そこでわらわは見つけたのじゃ、たーくさんのおそくずの絵[#「おそくずの絵」に傍点]の描かれた書物を!」
おそくずの絵とはどうやらエロ絵のことのようだが、モザイクを掛けたのは
「今の殿方はこういうのが好みかと、なかなかためになったのじゃ」
あのむっつり教師、隠蔽が徹底しとらんぞ、日本男児としてエロ本を嗜むのはわかるが。
正座の姿勢から腰を上げ、玉藻前は腕を組んで大きな胸を強調して色気づいてみせた。
「そういうわけで、お
みとあたわす。
「みと…あたわす…だと…?」
「?」
きょとんとした様子の玉藻前。
背後のドドドドドとかいう字幕(神通力)に引きずられ、本当に地揺れでも起こっているかのようでもある。
顔の下半分に手を当て劇画調(神通力)で、
「みとあたわすって、なんぞ?」
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