第4話 個性って面倒くさいです

「で、誰を他に仲間にするのよ?」




 「クラーラと後誰か誘う」




 「なら明日の明朝アルカディア入り口に集合よ。いいわね、遅れるんじゃないわよ」




 「ああ、明朝だな」




 エミリアは面倒くさい女だ。綺麗な青髪で容姿端麗であり、アルカディアでもトップ5には入る実力者だが、何故か地雷臭がする。




 さてクラーラでも誘ってみるか。




 チートスキル発動


 完全把握パーフェクトツィンケル




 これでクラーラの居場所も把握できる筈だ。




 また屋上かよ。いつも屋上だな、独りが好きなのかもしれないな。




 「いたクラーラ少し話しがあるんだが?」




 「屋上で異性から話しなんて告白ね」




 「違う。断じて違う」




 「あら残念。で何の用件なの」




 此方もエミリア同様容姿端麗である。透き通った銀髪に銀眼である。ミステリアスな美少女であり、実力は未知数である。




 「学園長から隣国の悪魔退治を頼まれた。勇者に任命された俺がやれって」




 「それで私に同行を願うと」




 「その通り。どうだ同行する気ないか?」




 クラーラは少し考えた後、無表情で首を縦に振った。




 「よし決まり。明日の明朝アルカディアの入り口に集合な」




 これで後一人と。うーん後一人は誰にしようかな。親しい人間も他にいないし困った者だ。しかしパーティーは四人と相場が決まっている。何としてでも後一人探さねば。




 俺は考え事をしながら廊下を曲がると何かにぶつかった。




 「痛いわね。誰よ私に許可なく触れた奴は」




 「ああ、悪い。考え事してた」




 「ふーん誰かと思えば勇者に任命されたルクス様じゃない。何故男の貴方が勇者なのだか」




 嫌みっぽくアウラに言われる。しかし丁度いい、席も隣だしこの際性格には目を瞑ろう。




 「アウラ、勇者として、クラスメートとして頼みがある。隣国の悪魔退治に協力してくれ。頼む」




 金髪碧眼の美少女のアウラは首を傾げる。




 「見返りは?」




 「え?」




 「当たり前でしょう。見返りなしに頼みを聞く訳ないじゃない。そうね私の奴隷になりなさい」




 ふざけてるのかこの女。いや俺も人の事は言えないが。




 まあいいか。チートスキルがあれば立場上奴隷でもどうとでもなる。




 「いいぜ。その代わりしっかり役に立てよアウラ」




 「いいんだ。じゃあ早速私の代わりにこれ運んどいて職員室までお願いね。後教室で待ってるからジュース買ってきて。いいリンゴジュースよ」




 ははっ。殺してえ。こいつ最悪の性格した女だな。  




 かくして俺は仲間を無事集めパーティーを結成することができましたとさ。




 ああ俺これからどうなるんだろうか。恨むぞ学園長ううううううう。




        ~~~~~~~


 「ゾンネ様。勇者が現れました。名をルクスと言うそうです」




 「構わないわ。大いに利用してあげましょう。それより他の組織の動向をチェックして起きなさい」




 「はい。分かりました」




 ゾンネは空を見上げて何かを呟いた。




        ~~~~~~~~




 翌日の明朝俺はアルカディア入り口で一人待つ。




 遅いな。まさか誰も来ないなんてことないよな。やめてくれよ、俺の努力が水の泡になってしまう。




 「ちゃんと来てあげたわよ。感謝することね」




 「少し遅れました」




 エミリアとクラーラが集合場所に顔を出す。




 後一人、アウラだけだ。昨日は散々な目にあったからな。物運ばされるわ、ジュース買いに行かせられるわ。




 「来てあげたわよ。この四人でフライハイト帝国に行くの?」




 「ああそういうことになる」




 「いいわ。さっさと悪魔退治しましょう」




 俺達四人はアルカディアを出国した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る